2012年4月20日金曜日

Lijphart:Democracies


Lijphart:Democracies

1996年度政治決定論テキスト・レジュメ

参加者
甲斐信好(価値システム修士課程)、菅万里(価値システム研究生)
栗原健太郎(社会工学修士課程)、新谷理(バイオサイエンス修士課程)

Arend Lijphart, Democracies: Patterns of Majoritarian and Consensus Government in Twenty-One Countries ((New Haven:Yale University Press, 1984)

Contents
1 The Westminster Model of Democracy
2 The Consensus Model of Democracy
3 Twenty-Two Democratic Regimes
4 Executive Power
5 Executive-Ligislative Relations
6 Parliaments
7 Party Systems
8 Party Systems
9 Electoral Systems
10 Division of Power
11 Constitutions
12 Referendums in Representative Democracies
13 Rational, Prescriptive, and Empirical Models of Democracies

Chapter 1 The Westminster Model of Democracy
(担当 甲斐信好)

・ウエストミンスター・モデルのエッセンス=majority rule

●ウエストミンスター・モデルの9つの要素(特に1945年から1970年)
1,Concentoration of executive power:one-party and bare majority cabinets
行政権の集中/下院第1党による組閣/連立内閣はまれ/ぎりぎりの過半数(少数派=野党が比較的大きい)
2,Fusion of power and cabinet dominance
行政(政府)と立法(議会)の一体化/議院内閣制=政府(内閣)の存在に議会の信任が必要(実際の力関係は逆転)
3,Asymmetric bicameralism
力関係が非対称な2院制/下院の優越、上院は立法を遅らせることができるだけ/ほとんど1院制と言ってよい
4,Two-party system
保守党と労働党の存在が大きい
5,One-dimensional party system
労働党(左より、支持者は主として労働者階級)と保守党(右より、中産階級)/政策の違いは社会経済的なもの/宗教、民族的なものはあまりない/homogeneousな社会
6,Plurality system of elections
小選挙区制/多数を得たものが当選
7,Unitary and centralized government
地方政府=財政的に中央政府のコントロール下にある/多数党と内閣の決定を妨げる地域は存在しない
8,Unwritten constitution and parliamentary sovereignty
不文憲法の存在/議会の主権がモデルの重要な要素(=下院第1党の力が絶対)
9,Exclusively representative democracy
代表制民主主義=人々の代表としての下院へ権力集中/直接民主制や国民投票の否定

・多数による圧政は慣習によって禁じられている

●ウエストミンスター・モデルからの逸脱としてのイギリス(1918年に遡る)
1,Concentoration of executive power:one-party and bare majority cabinets
1918年から1980年までの間、一党による内閣はわずか60%/チャーチルの救国内閣/少数与党による政権/Lab-Lib pact
2,Fusion of power and cabinet dominance
内閣の安定=下院での多数と党内ががっちりまとまっていることが必要/新しい不文律:内閣不信任の時のみ内閣総辞職か議会解散
3,Asymmetric bicameralism
上院の力の制限と廃止論/純粋な1院政に近づく
4,Two-party system
保守・労働党支持率:87.5%以上の得票率で98%の議席(1970年まで)→1970年代に変化、75%・81%の得票率で95%の議席/自由党、社民党の存在
5,One-dimensional party system
homogeneousの否定→multi national state/スコットランドや北アイルランド
6,Plurality system of elections
死票の問題/39.3%の得票率で635議席中319議席(5割強)を占める労働党、18.6%で13議席の自由党(1974年)/比例代表制選挙の検討/北アイルランドでは採用
7,Unitary and centralized government
北アイルランド(独自の議会)/スコットランドとウエールズの自治
8,Unwritten constitution and parliamentary sovereignty
ヨーロッパ統合の影響/欧州議会との関係/司法面(欧州裁判所)からも
9,Exclusively representative democracy
1975年の国民投票、EC(当時)に留まることを決める

・corporate pluralist(経済界)などの台頭

●ウエストミンスター・モデルの完全な例としてのニュージーランド
・マオリ族への配慮と国民投票以外は完ぺきなウエストミンスター・モデル
・添付資料参照

・ウエストミンスター・モデルの代表例は少なくなりつつある

Chapter 2. The Consensus model of Democracy
(担当 菅 万理)

Consensus vs. majority rule (p.21)
majoritarian によるdemocracy = government by the majority of the people
Arthur Lewis : 排除の原理を指摘
democracy とmajority rule が矛盾しない場合
1. majorities, minorities が政権交替する
2. 同質性の高い社会
*多元的な社会ではmajority rule は過半数による独裁、市民間の争いを引き起こす。
 e.g. 北アイルランド

The consensus model : eight majority- restraining elements (p.23)
スイスとベルギーが完全ではないが、例証として優れている。
1. 執行権の共有: 大連合
スイス: Christian Democrats, Social Democrats, Free Democrats, Swiss People's が2:2:2:1(magic formula) の割で内閣のポジションをシェア。
同様に言語による配分も。
ベルギー: 1970年の憲法改正により首相を除く内閣の配分=フランス語、オランダ語話者を同数に
2. 権力分立
スイス: 連邦評議会-立法府によって選ばれるが、その後4年間の任期は立法府に左右されない。
ベルギー: 内閣は立法府の信任に依るが、内閣自体が広範な連合によるもの。立法府との関係はgive-and-take
3. バランスのとれた二院制,少数派の代表
二院制を置くことの意義は少数派に特別の代表権を与えること。そのためには上院議員の選出は下院とは別の基準で行われること、上院に実質的な権力を与えることが必要。
スイス:上院に当たるthe Council of States= 州の代表
ベルギー:二院は実質的に同等。次の憲法改正では上院は言語共同体の代表組織になる予定。
4. 多党制
スイス:1979年の下院選挙では15の政党が議席を獲得、4つの政党で200席中の169席を分けた。
ベルギー:1978-1981年の選挙では約12の政党が下院の議席を分けた。
5. 多次元的な政党制
多党制のひとつの背景はplural societies
スイス:宗教,社会経済,言語の不一致
ベルギー:スイスに比べ、言語の不一致が政党分裂のより大きな原因に
6. 比例代表制
多党制のもうひとつの背景は、比例配分による選挙制度。これにより、社会的な不一致が政党制に反映される。
7. 地域的、非地域的な分権
スイス:連邦制=中央政府+21の州政府
ベルギー:非地域的なfederalismの好例。cultural councils(フランス語、オランダ語共同体) unitary stateからcommunal stateへ
8. 成文憲法と少数派拒否権
スイス:憲法改正=nation-wide majority+majorities in a majority of cantons
ベルギー:1970年の憲法改正でFrench-speaking minorityのDutch-speaking majorityに対する拒否権を導入

まとめ
consensus democracy は以下の点でmajority rule を制限
1)権力の共有 2)権力の分散 3)権力の公平な分配 4)権力委任 5)権力の公的な制限

Direct Democracy, majoritarianism, and consensus
referendumはmajoritarianの道具か?

Intermediate forms and practices: The case of the United States
U.S.=plural society
eight characters   
1. 執行力の集中
2. 権力分立
大統領と議会のリーダー間のpower-sharing
3. バランスのとれた二院制
  Senate=すべてのstateが平等  
4. 二党制
  しかし、国政レベルでは DemocratsとRepublicans共、非常にゆるい連合体 
5. 類似の綱領を持つ異質の政党
  異質分子による社会=政党に反映されない
6. 単純多数の選挙システム
  1)最高裁によるgerrymanderの承認 2)70s 大統領予備選挙結果の決定法 
7. 連邦制
  南部の自治
8. 成文憲法と少数派拒否権
(1,4,6,and perhaps 5=majoritarian model, 2,3,7,and 8=consensus model)

Chapter 4 Executive Power: Majority Rule vs. Power-Sharing
(担当 新谷 理)

ウエストミンスターモデルとコンセンサスモデルの最も重要な違いとして政府が持つ執行権についてがあげられる。一般にウエストミンスターモデルの方が政府が範囲と内容双方で執行権を保持していることは先の章で議論した通りである。
さてこの章では執行権=内閣とし、いかに与党勢力が形成されるかということについて、ウエストミンスターモデルとコンセンサスモデルの違いを実例を交えて検証していきたいと思う。

COALITION THEORIES
与党とは一般に国会の多数派である。ここでは一党で過半数を占める政党がないときにどのような方式で議会内で多数派を形成していくかについての5つのモデルをあげておく。
1. Minimal winning coalition
最小限の参加政党数でできた連立内閣。2.3.4.はこれに付加条件が付く。
2. Minimum size coalitions
最小人数で構成された内閣。執行権のパイの分け前が最大化される。
3. Coalitions with the smallest number of parties
連立内閣に参加する党の数を最小化したもの。与党間の調整が容易
4. Minimal range coalitions
連立内閣に参加する党の左右の幅を最小化したもの。党間の意見差が最小化
5. Minimal connected winning coalitions
4.に似てるが政策が近い左右の関係が近接している政党が集まった連立与党。その違いはこちらは原則的に最も政策が近い2党同士が結びつくという原則を繰り返しながら過半数を作り出すというもの。この方法では与党と同じような政策を持つ野党は存在しない。

以上の5つのモデルが考えられるわけであるが、これらの考え方を実際例に照らし合わせてどのやり方が最も現実に即しているかということをみてみる。その結果5.が最も多数の国で行われている考え方ということがわかった。


何が定規を作る

A CRITIQUE OF THE POLICY-BLIND COALITION THEORIES
我々はここでMinimal winning coalition及びその亜流がなぜ実際には採用されないのかということについて考察してみた。その理由は以下の6つの意見に要約される。
1. 政党の嗜好を無視。政党は内閣に参加することが主目的ではなく、政策を自分の主張に近づける方が主目的。内閣参加がその目的の頂点ではない。
2. 閣外協力の可能性の読み飛ばし。その中身は1.にかさなる。
3. その課程に政党の内閣での権力の最大化が入っている。政党は権力の最大化を第一とは考えていない。
4. Minimal winning coalitionは連立与党の体力というものを考慮していない。余分な政党も、一部の政党の離脱に対しての保険というように考えることができる。
5. Minimal winning coalitionは過半数という多数決しか考えていない。憲法改正などといった過半数以上(3分の2以上)といった場面を想定していない。
6. 反対に少数内閣を想定していない。少数与党でも野党が連立できない場合(たとえば与党が中道で、野党が極左と極右)はその時々で野党と協力することによって政権は維持できる。。

A CRITIQUE OF THE POLICY-BASED COALITION THEORIES
実際上は政党は政策を基本として連立しているようである。しかしながらそれでも半数程度の政体しか説明できないのである。この見方の弱点は何かという点について考察してみた。
1. 政党の左右についての議論は循環論である。現実には政党は政権につくときの状態に応じて左右に振れていく。つまり左右とは絶対的な尺度にはなりえない。
2. 対立軸を左右のみに考えることはできない。近年のヨーロッパにおいては宗教対世俗や、民族、言語など様々な対立軸が生じている。
3. 連立内閣において、その参加する政党の政策が中間派であることがその政策の実行上有利である。従ってMinimal winning coalitionの原則に立って自分の権力の最大化を図っている場合でも、余分な政党を参加させて自己を中間派化させるということが考えられる。
4. 国内外を問わず、反民主、反国家的な敵と戦う場合はすべての小異を捨てて大連合化する場合がある。

COALITION POTENTIAL AND COALITION PACTS
実は始めに実際例を当てはめるときに次の2点を補充し、理論の改良を行おうと思っていた。1つは政党によっては連立する能力を最初から持っていないものがあるということである。それらの政党は民主的なものではないと考えられ極左、極右などが当てはまる。2つめは、選挙前から連立を前提にしている場合があるということである。これらの党は選挙後最優先で連立し内閣を作るわけであるから、この前提が成り立たないような事態にならない限りほかの理論による連立論はでてこないのである。

TYPES OF CABINETS IN 21 DEMOCRACIES: EMPIRICAL FINDINGS
1945年から80年までの21カ国の実例からMinimal winning cabinetsかOversized cabinetsを見てみた。なおこの21カ国は、議院内閣制の18カ国にフィンランド、フランス第五共和制、スイスを加えたものである。アメリカはその政体の違いから除外した。
その結果から推察できることはNonpluralからPluralに社会構成が変わっていくと、 Minimal winning cabinetsからOversized cabinetsへと変わっていくのであり、この本の主題である、ウエストミンスターモデルは、 Minimal winning cabinets、コンセンサスモデルはOversized cabinetsというような対応関係を見つけられる。ニュージーランドとスイスはその両極端のモデルである。
例外もある。オーストリア、ベルギー、ルクセンブルグがそうである。これらの解決を試みてみよう。オーストリアについては過去の2つのPluralな社会の対立が悲劇を生みだした反省から、大連立となり社会対立が癒されてMinimal winning cabinetsに安定に転じた。また実際はオーストリアにおいて一見Minimal winning cabinetsを装っていても実はOversized cabinetsとなっている現実もある。
ベルギーにおいては一つは様々な対立がオランダ語使用者とフランス語使用者の対立に置き換えられてしまうという点がある。更に特殊な状態では臨時の大連合が設立されやすいという事情もある。
また先の3カ国に共通していることでもあるが、一つの政党が長期間において世間からはずされたことはない。このことがこの例外を作り出した原因の一つである。
最後にカナダについて述べておく。この国はいわば例外の次点である。この国では1つの政党が政権を担当しており、体裁の上でウエストミンスターモデルであるが、ほかの政党からの大連合という形での支持を受けて成り立っている。ウエストミンスターモデルをPluralな社会に適応させたらどのようになるのかという意味ではカナダという国はよい実験例である。

Chapter5 Executive-Legislative Relations
(担当 栗原健太郎)
概略
行政・立法に関するふたつの類型である議院内閣制と大統領制とを比較し、それら諸類型のふたつの差から導出される分類表を提示する。ついで、上記の差以外の基準による議会主義と大統領主義の判別方法を批判する。さらに、議会制度と大統領制度の利点、欠点を論じたのち、議会主義と大統領主義との関係、及びマジョリタリアンとコンセンサスとの関係と分析する。
Parliamentary vs. Presidential government
議院内閣制と大統領制を分別する際の相違点はふたつ存在する。
議会に対して責任を負うか
行政の首長が直接的に、又は間接的に選ばれるか
以上のふたつの顕著な特徴を組み合わせてみると、表5・1に示される概念的に可能な四つの政府類型ができあがる。
parliamentary government
presidential government
hybrid form of government 1
hybrid form of government 2
Additional Parliamentary - Presidential Contrasts
上のふたつの基準とは別に、次の四つのものを提唱する政治学者もいる。
権力の共有;議会と内閣の一員であること
権力の分立;行政・立法の独立性
議会を行政府の長が解散できるか
唯一の元首か否か(象徴的元首の存在)
a collective bodyかthe sole executive
Strength and Weakness of Parliamentarism and Presidentialism
議会制度と大統領制の問題点は次のふたつに集約される。すなわち、議会制においては行政の不安定性、大統領制では行政と立法との対立からくる行き詰まりである。
Executive Dominance vs. Executive-Legislative Balance
ミニマル・ウイニングな内閣を持ちやすい民主国家は、比較的長寿の内閣を、逆にオーバーサイズな内閣を持つ国家は短命の内閣を有することになる。
19の議会主義的な体制に関しては、内閣の存続期間というものは行政優位を示す際の良き指標となる。
Addendum
ここで扱っている民主国家のうち、半数の国が君主を戴いている。その理由は君主の権力が極端に制限されている立憲君主国だからである。
君主制が利点を持つといわれる訳は、それが非政治的な君主と不偏の象徴を提供するためである。ただ、君主は不調和をもたらす源ともなりうるし、全く政治的に無力というわけでもない。

Chapter 6 Parliaments: Concentration vs. Sharing of Legislative Power
(担当 甲斐信好)

●本章のテーマ
The pure majoritarian model :立法権の集中・一院制
The pure consensus model :立法権の等しい分割:異なった構成の二院制
       (英国、ベルギーの例)
付記:より重要な(連邦制の場合は人口を基礎として選ばれた)ものを第1院とする
       (例外:オランダ、スウェーデン)

[一院制と二院制]
●第3のカテゴリー:ノルウェー、アイスランド(一院制に近い)
 第2次大戦後、3カ国が二院制から一院制へ
●二院制=複合社会、一院制=同質社会/言えない
●二院制=大きな国(人口1千万人以上)、連邦制/言える
 国の大きさの方がより強いファクターである
  例外の数:小さいけれど二院制=3 VS 連邦制でないけれど二院制=8

[さまざまな二院制]
●第2院の役割:民主的に選ばれた第1院に対する「保守的なブレーキ」
●第1院とくらべた第2院の特徴(それほど重要でないもの)
 1.規模が小さい(例外:英国上院の世襲貴族)
 2.任期が長いか同じ(2〜5年に対し、4〜9年/例外:スイス)
 3.一括でなく、ずらして選挙が行われる
●第1院とくらべた第2院の特徴(より重要なもの)
 1.権力は下位にある(議案の否決、内閣の責任など)
   例外:第1院と同等な第2院の国=ベルギー、スイス、イタリア、アメリカ
 2.メンバーを選ぶ方法が重要
   しばしば間接選挙・指名制=民主的正統性を欠く
    上記の4つの例外のうち直接選挙2、残りの2つも大多数が直接選挙
    やや非対称な4つ:オランダ(間接選挙だが第2院の拒否権あり)
     ドイツ(州の代表)、オーストラリア、日本
 3.特定の少数派を多めに代表する
   連邦制の国では小さな州を、英国では貴族を、フランスでは地方を
   6つの国=congruent(選び方の一致)、ほぼ比例代表だが少数派への配慮なし
     例外:アイルランド(職業・文化的な利益集団から。しかし政党政治下)

[強い二院制と弱い二院制]
●強い二院制の条件
 1.第1院とincongruent(選ばれ方が異なる)
 2.第1院とほぼ等しい力を持つ
   強い二院制=オーストラリア、ドイツ、スイス、アメリカ
   とるに足らない二院制=オーストリア、アイルランド、および一院制の国々
   弱い二院制=上記以外の国々
●二院制の強弱は複合社会・同質社会とは関連がない
●小さい国で二院制=実はとるに足らない二院制/スイスのみが例外として残る
 二院制の強弱は国の大小では説明できない


大恐慌時の農家の生活

[強い二院制と権力の分散]
●強い二院制と議院内閣制(執行権と立法権の融合)は両立しがたい
 内閣は一つの院にだけ責任を追う=
  議院内閣制にはcongruent or/and 非対称の二院制(または一院制)が必要である
                       (はたして言えるだろうか?)
●オーストラリアの例(第2院で歳出予算案否決、デッドロックにのりあげる)
 ドイツの例(第2院の拒否権は州の利益に関するもので、全体の半分まで
       しかし野党が第1院の3分の1以上、第2院の3分の2以上を占めたら?)
●内閣は、違う基準・時に選ばれた2つの院に同時に責任を負うことはできない
●majoritarianのバイアス:上記はぎりぎりの過半数の場合のみ問題
            過大規模連立内閣であれば問題ない

[強い二院制、議院(内閣)制、連邦制]
●強い連邦制=強い二院制(強い二院制の4カ国がいずれも連邦制)
  第2院は連邦制における州の利益のセーフガード
●連邦制と議院内閣制は両立するか?
  連邦制・強い二院制・議院内閣制は、最小勝利内閣より大きいことが条件
  consensus modelなら問題ない

Chapter7 Party Systems: Two-Party and Multiparty Patterns
(担当:菅 万理)

majoritarianとconsensus モデルの4,5番目の相違点は政党制の特性にある。
majoritarian: 2党制, 社会経済的差異を反映
consensus: (重要な党による)多党制, 多数の争点
この章で扱うトピック
1. 2党制が支持される理由。それに対する批判。
2. 政党数の判定に当たり、どの政党をカウントするかの問題。
3. 政党制のタイプと 連合のタイプ, 立法府と執行府の関係の関連性

The case for two-Party systems
民主政治の安定制と質から見た2党制の長所
1. 民主政治体制に及ぼす穏健で中心よりの影響
  浮動票にアピールするため
2. 議会制システムでは2党制の方が安定的かつ効果的
  A.Lawrence Lowell: 立法府は2党によるべき
3. 有権者が政策においてクリアな2者択一ができる
  勝利を得た党のプログラムが自動的に政府のプログラムになる
4. 政府の権力執行にはっきりとした責任を持たせられる
  Woodrow Wilson: 権力と厳格なアカウンタビリティは優れた政府の基本的条件

A critique of two-party theory
1. 2党制優位の理論的背景: 大国中心/ 安定的なUK,USと不安定なワイマール共和国,フランス第3,4共和制.戦後イタリアとの比較
  スカンジナビア,ベネルクスにおける多党制 + successful democracy
2. 多党制が短命内閣の原因と認定される証拠はない。また、内閣の不安定をregimeの不安定と看做すのも間違った認識である。
  つまり、cabinet stabilityとregime stabilityの混同
3. 2党制支持者の理論的矛盾: 穏健で中道よりの政策 vs クリアな二者択一
  前者: アメリカ  後者: イギリス
4. 2党制は政府行動の責任所在をはっきりさせることの必要十分条件ではない。
  前提条件
 1) 多数党が単独で内閣をつくること
 2) 議員内閣制
 3) 1党が1院,2院をコントロールできる
 4) 2党各々が政府のプログラムに対する支持, 不支持において結束していること
5. 政治におけるissue dimensionをleft, right に限定している

Which parties should be counted?
2党制と多党制を明確に分けることは困難
3つの問題点
2) 結束力の弱い党, 派閥のある党を1党とカウントすべきか
3) 密接かつ継続的に同盟を結ぶ2党を1党とカウントすべきか,2党とカウントすべきか

〈criterion〉 立法府における組織を見る
   議会において別々の議員総会を持つ→ 別々の党
議会内で1つのグループを構成→ 1つの党

The "effective" number of parties
党の数を決める上でどこまでの規模の党をカウントするかが問題
Giovanni Sartoriによる基準
 ・議席を獲得できなかった党→カウントしない
  その他の党の相対力は議席数で判断
 ・連合の可能性, blackmailの可能性を持つ党のみカウントする
 ・2つの変数に基づく ;サイズ, イデオロギーの互換性

Jean Blondelの区別法
 ・4つのカテゴリー
 ・dominant, halfというコンセプト

Markku Laakso and Rein Taageperaによる指標 = 有効政党数
   1

 ・Table7.3 第1院もしくは1院制の議席数に基づいて計算
 ・選挙政党と議会政党は別→ 9章で詳細

Party systems and types of cabinets
政党数と内閣のタイプ, 寿命の関係
 ・多党制: 有効政党数とcoalitionの割合の相関係数=0.61 (1945- 80)  oversized coalitionとのより強い相関
 ・多数党制: 有効政党数とminimal winning cabinetsとの相関関数=0.84

Party systems and cabinet durability
有効政党数と内閣の耐年性との相関係数= -0.80
政党数の増加→ 内閣の耐年性.執行権力の優位 減少
fewer than 3.0 parties: 内閣の平均耐年数=81カ月
intermediate     : 44カ月
more than 4.0     : 24カ月

☆次の2つの章で政党数と2つの変数との相関を検討する。
1) the number of issue dimensions
2) the electoral system

Chapter8 arty Systems: The Issue Dimensions of Partisan Conflict
(担当 新谷 理)

マジョリテリアンモデルでは、すべての問題は社会経済的な問題とされ処理された。対照的にコンセンサスモデルでは多様な問題の軸がある。この章ではその多様な問題の軸として7つの軸を紹介及び考察し、またその中の主要な2つの軸(社会経済問題、宗教問題)を詳しく見てみる。また政党数と問題の軸の数の関連性についての考察をも試みてみる。

SEVEN ISSUE DIMENSIONS
次の3つの観点を持って様々な政党を観察した。すなわち、
1.党の綱領と党の実施政策の相違。実施政策に注目。
2.党間と党内派閥の相違について。党間の論点に注目。
3.RELEVANTとBLACKMAILの違いについて。 RELEVANTに注目。
この観点を持って眺めると以下の7つの問題の軸が見えてきた。
1. 社会経済の対立軸
2. 宗教の対立軸
3. 民族文化の対立軸
4. 都市地方の対立軸
5. 体制支持についての対立軸
6. 外交政策についての対立軸
7. ポスト物質主義についての対立軸
これら7つの問題と各論としての各国の対応はテーブル8.1に示してある。まずこれら7つの問題について紹介する。

THE SOCIOECONOMIC DIMENSION
この問題は4点に代表される。
1. 政府対個人の生産手段の所有についての問題。
2. 政府の役割の強弱についての問題。
3. 富の再分配についての問題。
4. 社会保障制度の度合いについての問題
さてこの社会経済制度についての問題を各国々で見てみるとイデオロギーの終焉という言葉とは裏腹に依然主流をなしている問題であり、以下の6つの対立軸と比べて突出している。これらは政策と経済の緊密な関係から最も身近に影響される軸であるからである。なおアメリカ、カナダ、アイルランドで比較的に影響力がないのは、その政党の左右の差がほとんどないからである。

THE RELIGIOUS DIMENSION
この問題は2番目に重要な対立軸であり、半数の国々に見られるものである。しかしながら宗教対立は減衰傾向にあり、ヨーロッパにおいても、カソリックとプロテスタントの対立といった伝統的なものが融合に向かうといった傾向が近年見られるようになった。だがその反面、モラル問題の上での宗教と世俗の対立というようなものが起こっている。問題の代表例として、離婚、出産制限、中絶、男女平等、ポルノなどである。
西ヨーロッパではこの対立軸の問題は重要である。しかしヨーロッパの外でもこの対立軸は争点をなしており、イスラエル、日本、オーストラリアにおいてみることができる。

THE CULTURAL-ETHNIC DIMENSION
この対立軸は多民族多言語国家に見られる問題で22カ国な間では、ベルギー、カナダ、スイス、フィンランドなどに顕著に見られる。またアメリカにおいても民主党が少数民族に肩入れしている姿勢が見受けられる。

THE URBAN-RURAL DIMENSION
これは地方=農業と都市=工業の対立軸である。主に農民の利益を守る党というかたちで見ることができる。しかし北欧では農業人口の減少からその軸足を次第に地方から都市へうつし、中道政党に脱皮をはかる傾向が見られる。

THE DIMENSION OF REGIME SUPPORT
これは現体制を支持するかどうかという対立軸で、主に手頃な大きさをもつ共産党がある国である、フランス、イタリア、フィンランド、日本などで見られる。しかしながらこの対立軸はユーロコミュニズムへの共産党の方針変更などによって、共産党=体制の転覆者という構図が崩れているので、対立軸としての意義は薄れ始めている。

THE FOREIGN POLICY DIMENSION
これは外国政府とどのようなスタンスでつきあうかという対立軸であり、ソビエトからの独立を目指したユーロコミュニズム、NATOに対する問題、日米安保条約などがこの対立軸に属する問題である
この中で最大のものはコミュニストと非コミュニストの問題である。これはフィンランドのソビエトよりの中立いった問題に代表される。次点としては、フランスなどに代表されるユーロ国家への帰属問題である。左右両派とも統合派と非統合派にわかれて論争を行っている。この問題はイギリス、アイルランド、デンマークでも起こり、議会では決められず国民投票という手続きで審議された。また北アイルランド問題、イスラエルの植民問題など様々な問題もこの対立軸に属する問題である。


ここで、ジョンはブースウィルクスすべての場所が住んでいましたか?

THE MATERIALIST VS. POSTMATERIALIST DIMENSION
保守的社会主義と参加型民主主義(=直接民主主義?)及び環境主義の対立という新しい対立軸が現れてきた。前者は強力な中央集権と官僚組織という形で現れており、後者は若い世代に見られる、身近に政治に参加することや、自分の住む国や町を美しくといった考え方に現れている。前者を物質主義、後者をポスト物質主義ととらえこの対立を新たな軸としている。この問題は過去においてはたいした争点にはなっていなかったが、近年において成長している対立軸でもある。

ISSUE DIMENSION AND "FAMILIES" OF POLITICAL PARTIES
対立軸が22各国の間でどのくらいの頻度で起こっているかということをみてみると、社会経済問題がダントツで、すべての国々で取り上げられている対立軸である。その次が宗教問題であり全体の半分、ついで都市地方問題と外国政府との関係問題が全体の3分の1くらいである。ほかの3つはかなり小さな対立軸である。国別に対立軸の問題を見てみると、最も数が少ないのがニュージーランド、アメリカ、アイルランドであり、最も多いのがフランス第4共和制である。
欧州議会選挙においても最も重要なのはやはり社会経済の問題と宗教の問題であり、その議席全体の4分の3がこの2つの対立軸に基づいて選出されている。

ISSUE DIMENSION AND COALITION THEORY
我々はこれまでに対立軸がどの程度各国々にの争点になっているのかということについて見てきた。ではその対立軸の強さを見ることはできないだろうか。
この問題の答えの1つの方法として投票結果によって簡単に見ることができる。その調査結果では圧倒的に社会経済問題が重要であることがわかっている。しかしところによっては宗教や民族言語の対立軸が同じくらい重要視されているところもある。ベルギー、カナダ、スイスなどが該当する。
しかしながら単純に投票の結果だけでは実際に対立軸が与えている影響の度合いを見ることができない。そこで第4章で見てきたこと、すなわち連立は類似の政策を掲げる政党同士によって行われることが多いという結果をふまえて、その連立の仕方で対立軸の重要さを見ていこうと思う。図8.1のルクセンブルグの1959年の選挙結果の模式図を見て説明すると、3つの政党があり左派世俗、右派世俗、中道宗教という三角形を描いており、そのいずれもが過半数をとれないが、2つあわせると過半数になるという状況があるとする。ここで左派中道、右派中道という連立が起これば宗教的問題よりは社会経済問題を優先した連立ということになり、また左右連立が起これば、社会経済問題より宗教問題を優先した連立というこ� �になる。また大連立が起これば社会経済問題と宗教問題は同じ重要度を持つということになる。
このような状況になったのは全部で11カ国ありその状況を見てみると、左派中道+右派中道が84%をしめるのに対して、左右連立は16%にすぎない。この比率は時間的に見ても変わっておらず、いずれの時代においても社会経済問題の対立軸が最優先されているということがわかる。

THE NUMBER OF PARTIES AND THE NUMBER OF ISSUE DIMENSIONS
ここでは政党の数とその国が持っている対立軸の数の関係を見てみたいと思っている。これらの関係は、多数の対立軸が存在する場合、大きな政党ではすべての問題に言及しなければならず、その意見調整が困難であることから考えればある程度自明の理である。
実際に7章で数えた有効政党数と8章で数えた対立軸の数の関係を認めていると一次関数的な関係を認めることができる。(テーブル8.4)このことからも政党数と対立軸の関係は、正比例的な関係といえる。

Chapter 9 Electoral Sytems
(担当 栗原健太郎)
マジョリタリアンとコンセンサスとの違いを測る物差しの六番目のものは選挙制度である。マジョリタリアンな民主主義において典型的な選挙制度は、単純多数制か絶対多数制である。それに対して、コンセンサス国家では、通常、比例代表制である。
ELECTORAL FORMULAS
選挙制度は五つの次元からのべられる。つまり、選挙方法、選挙区の大きさ、supplementary-seatsの有無、electoral thresholds、そして投票構造である。
plurality and majority formulas
plurality formula;最大多数の票を得た候補者が選出される。
majority formula;当選に過半数の票が必要。一回の投票で過半数を得
              られない場合、上位2名で決選投票。
alternative vote;候補者たちについて、投票者が選好を示し、第一選
              好の絶対多数を得た者が当選する。
proportional representation
list system;多人数の選挙での候補者リストを推薦し、投票者は党のリ
           ストに対し票を投じる。議席は集めた票数に従い、党の推薦
           者に配分される。
single transferable vote;リスト制度とは候補者個人に投票する点で異
                 なる。
semi-proportional system;上記ふたつの中間に位置するもの。
OTHER DIMENTIONS OF ELECTORAL SYSTEMS
district magnitude;選挙区で選ばれる候補者の人数
supplementary seats;比例制からの逸脱を矯正するために、ナショナルプールに     おかれる議席数
3.electoral thresholds;小さな政党が簡単に勝利しないように設けた最小限の制約
ballot structure;分類的なものと順序的なものとに別れ、前者は投票者が権限をひとつの政党に与え、後者は複数政党、又は異なる諸政党の候補者たちの間で分け与える。
ELECTORAL SYSTEMS AND PARTY SYSTEMS
単純多数制は二党制を好むことが知られている。Duvergerによれば、これは社会学的法則であるとされる。さらに、彼は選挙制度の効果を数学的・心理学的要素から説明している。単純多数制においては二大政党以外は殆ど勢力を保てない。なぜなら、小党は各選挙区で破れる傾向にあるからだ。
Raeは選挙と党の関係について以下の結論を下した。つまり、全ての選挙制度は(1)反比例的な結果を生む、(2)選挙される政党の有効数に比べ、議会にある政党の有効数を削減する、(3)大多数の信任を得ていない党に対して、議会での多数をつくり出させる可能性を持つということである。
ELECTORAL SYSTEMS AND THE EFFECTIVE NUMBER OF PARTIES
Duverger 'sの法則を適用すると、選挙制度が融通のきくものであればあるほど、政党の有効数はより大きくなるものと予想される。
DEGREES OF DISPROPORTIONALITY
どんな選挙制度でもきっちりと比例的な結果を出すことは不可能。この反比例性を測定する指標がDouglas RaeとJohn Loosemore & Victor Hanbyによって提唱された。ただ、どちらのものにも欠点がある。前者のは大変に小さな政党の存在に敏感であること、もう片方は選挙に参加する政党の数に反応しすぎるとういう点である。
REDUCING THE EFFECTIVE NUMBER OF PARTIES
全ての選挙制度の持つ反比例的な性質は大きな政党を優遇し、小さなものを差別する傾向がある。その結果、全選挙制度は政党の有効数を減らしてしまうようになる。このことは、P.R制度よりも過半数、絶対多数制度に顕著である。

Chapter 10 Division of Power :The Federal-Unitary and Cetralized-Decentralized Contrasts
(担当 甲斐信好)

この章であつかうこと:中央政府と地方政府の権力の分散
マジョリタリアン・モデルでは、中央政府だけでなく地方政府もコントロールせねばならないはず(コンセンサス・モデルでは逆)
連邦制は分権のための必要条件でも十分条件でもない
対象となる国:
アメリカ合衆国、カナダ、(西)ドイツ、スイス、オーストリア、オーストラリア

FEDERALISM
連邦制の特徴:中央政府と地方政府の間の保証された権力の分散
その5つの二次的な特徴:
● 成文憲法の存在
権力分散の保証のために必要
● 二院制
すべての連邦性の国が二院制を持っている
● 憲法改正への関与
オーストリアを例外として何らかの形での承認が必要
違った形での政府をつくる実験である:疑わしい

OVERREPRESENTATION AND DECENTRALIZATION
● 過剰な代表
人口の割合が少ないユニットが、人口に比べ大きな割合で議席を占めている
表10.1.:
唯一の例外はオーストリア/6カ国中4カ国が選ばれかたの違う二院制(6章)
● 地方分権
定義:地方政府のパワーが、その同意無しには取り去られないこと
どうやって分権をはかるか?:歳出と歳入、特に中央によらない税収
表10.2.:
連邦制の国々の中央集権度は58%(←83%に対して)

CONGRUENT AND INCONGRUENT FEDERALISM
社会・経済的要素と地理的な区分けが一致するかしないか
(=政治的な境界と宗教・民族による社会的境界を比較する)
表10.3.:
オーストラリア、オーストリア、ドイツは一致
ベルギー、カナダ、スイスは不一致
ユニットの数によるのではないか、という仮説:あっさり否定
地理的集中度による

CORPORATE FEDERALISM
地理的に散らばっているグループに対する連邦制
エストニア(1925)、キプロス(1960)などの例が
最近ではベルギー
社会的連邦制
教育、ヘルスケア、マスメディアなどによる宗教、イデオロギー準社会の形成

FEDERALISM、DECENTRALIZATION、
AND CONSENSUSDEMOCRACY
最小勝利連立、有効政党数などとの関係

Chapter11 Constitutions: The Sovereignty of The Majority vs. Monority Rights
(担当 菅 万理)


majoritarian modelとconsensus modelの8番目の相違点は、議会majorityの立法権に対する抑制があるか。つまり、議会に優越する法があるか/ 議会多数派が最高のlaw makerか
この相違は不文憲法、成文憲法の相違で表わされる。
不文、成文を分ける3つの基準
1. 文字通りの解釈
2. 憲法改正の手続きに関する基準
3. 憲法と通常法に対立が生じた場合、誰が解釈をするか

Written and Unwritten Constitutions
written, unwrittenの文字どおりの解釈はあまり重要ではない。
理由: 1.unwrittenは22カ国中、3カ国だけ/ 英、ニュージーランド、イスラエル
2.憲法がmajorityに対する制約を課するかどうかの判断の方がより重要

Constitutional Amendment and Minority Veto
憲法改正の手続きの3つのタイプ
1. 特別大多数
2. 国民投票
3. 議会における通常の大多数
1.= consensus modelに最も一致する手続き
minority vetoを具体化するため特別のmajorityを要求するor 州のようなsubnationalの組織の承認を要求
2.= minorityによるcampaignの余地
デンマーク、アイルランド--わかりやすい実例
フランス第5共和国-- 手続きの選択権は議会多数派or大統領に
3.= 3つの不文憲法国--自動的にこのタイプ
スウェーデン、アイスランド-- 議員選挙をはさんだ2連続の過半数を要求

Judicial Review
法律が憲法に適合するかどうかを審査する独立した機関があるか

Chief Justice John Marshall(USA)、R.H.S.Crossman(UK)
成文憲法+独立した司法部=最高裁の審査権
不文憲法の3カ国+6カ国がjudicial reviewを否定
極めて重要な判断は選挙で選ばれた代表によるべき、という理論
The centralized system of judicial review   
オーストリア第1共和国、ドイツ、イタリア *フランス第5共和制
The decentralized judical review
USA--非常に強固な司法部
スカンジナビア、アイスランド

Federalism, Judicial Review, And Rigid Constitutions
judicial reviewとlegal forms, political structures, modes of judicial organization, constitutional valuesとの関連
検討すべき3つの関連性
1. judicial review--consensus democracy
rigid constitution--antimajoritarian
11/22が関連を否定
2.written constitution--federalism: 前章で言及
federalism--judicial review
5/6のfederal statesがjudicial reviewを持つが、8/16のunitary statesも同じくjudicial reviewを持っている。
3.federalism--judical review--minority veto
オーストラリア、オーストリア、カナダ、ドイツ、アメリカが該当
federalismとantimajoritarian constitutionsの関連は肯定できる。

Chapter 12 Referendums in Representative Democracies
(担当 新谷理)

ウエストミンスターモデルでもコンセンサスモデルにもおいても国民投票という形で直接民主制のものが入り込んでいる。ここでは直接民主制の様々な部分が我々の社会に入り込んでいるものを見、それが時々には発動される理由を説明することを試みてみよう。

INSTRUMENTS OF DIRECT DEMOCRACY
図12.1は我々の政治の仕組みを表したものである。ここで実線で表したものが一般的なシステムである間接民主制の、点線で表したものが直接民主制の仕組みである。ここでは図に示された4つの手続きを簡単に説明する。
1. 大統領制 
 最も代表的な直接民主制のシステムが大統領制である。この制度は立法権と行政権の関係を変えている。大統領をモナークの代用と考える説もあるがこれは正しくない。
2. 国民投票と議案提出権
 国民投票はある議案に対して国民すべてで投票して賛否を決める方法であり、憲法改正の必須手続きとして使われる国も多い。議案提出権は国民が議会を通さずに直接議案を提出できる権利を指す。
3. リコール
 ルソーがいったように国民は選挙の間は自由だが、選挙が終わってしまうと奴隷になってしまうような現象が考えられる。そこでわずかな人の発議で、議会に対しての信認を改めて問うことのできる制度がリコールであり、これによってルソーの指摘した問題を解決している。
4. 予備選挙
 直接民主制は媒介者である政党を選挙において無用のものにしてしまう。そこで政党の結成なしに候補者が出せるように予備選挙というものがある。
以上にあげた制度は実際は次のように各国にて用いられている。大統領制はアメリカ、フランス、フィンランド。国民投票と議案提出権をともに持っているのはスイスとイタリア。リコールを中央レベルで持っている国はなく、予備選を持っているのがアメリカ。

REFERENDUMS
表12.1が国民投票の回数である。全国民投票の3分の2がスイスで行われており、また9カ国では全く行われていない。国民投票じたいはゆっくりではあるが確実に増えてきているものである。国民投票には統治対非統治、体制対反体制的な側面を見ることができる。多くの政府が行う国民投票は統治的、体制支持的になるがこれらは、政府がその結果をある程度予見できるものに対してだけ国民投票を行うからである。このことは国民が議案提出権を持っていない場合に強く見られる。議案提出権がある場合、国民投票は政府の予想から大きくはずれ非統治的、反体制的な国民投票になりうる。しかしながら、これはあくまでそのようになりうるという予想であり、しばしば国民投票は思わぬ方向に行くこともある。

THE PATTERN OF USAGE OF REFERNDUMS
どのようにして現代において国民投票は関わっているのだろうか。以下にそのことについての説明を5つ紹介する。
1.  マジョリテリアンかコンセンサスかというモデルについての違いについては次章で紹介する。しかしながらあまりモデルの違いに関係していない。
2.  国民投票の実施の割合はその国で行われている「参加の範囲」に影響される。第一院や第二院や大統領制などでどのくらいの頻繁さで行われているかを調べ、その回数を保管するような形で国民投票が行われるというのである。しかしこの仮説は成り立たないことがわかっている。
3.  国民投票は先立つ長い間の市民同士での顔をつきあわせた直接民主主義の積み重ねが行われた場所でのみ盛んであるという仮説がある。この仮説はスイスやアメリカの一部の国のみを説明し全体の説明にはならない。
4.  先に述べたように議案提出権のない国での国民投票は単なる政府支持の儀式にしかなり得ないのでそのような国では国民投票は行われないということが考えられる。このことはスイスやイタリアに着いての説明でしかない。
5.  国民投票には憲法を圧倒する力かあるから行われるという見方もある。国民投票がよく行われる国9カ国中7カ国が憲法改正に国民投票を必要であるという態度をとっており、それ以外の13カ国では2カ国しかそのようにはなっていない。このことは直ちに国の哲学ともいうべき憲法ち民主主義の関わり方についての疑問を我々に問いかけてくる。

Chapeter 13 Rational, Prescriptive, and Empirical Models of Democracy
(担当 栗原健太郎)

マジョリタリアン、コンセンサスモデルが何処まで現実的かを検討する。
RATIONAL MODELS
民主主義におけるマジョリタリアン、コンセンサスモデルは合理的であり、論理的に斉合的である。しかし、このモデルは常に論理的純粋型と一致するわけではない。特定の国における制約が課せられるからである。
PRESCRIPTIVE MODELS
マジョリタリアン、コンセンサスモデルは処方箋的なものでもある。
マジョリタリアンとコンセンサスとの違いは憲法に対する態度にも表れる。前者は憲法の描く青写真に忠実たろうとするが、後者はそれに加えて、より突っ込んだ決定を下す必要がある。選挙制度、改憲などが事例としてあげられる。
EMPIRICAL MODELS
マジョリタリアン、コンセンサスモデルは経験的なものでもある。以下、因子分析を用いて21カ国に全体として経験的なパターンがあるかどうか調べてみる。       (⇒本文参照)
CLUSTER OF COUNTRIES
21の民主主義国家がどのようにマジョリタリアン、コンセンサスに振り分けられるかをみていく。表13.2によれば次の四つの概念に分類される。
1.majoritarian
2.majoritarian-federal
3.consensual-unitary
consensual
この四つの分類は各範疇に属するプロトタイプを特定化するのには便利であるが、因子1と2の両方で弱い得点を持つ国を分類するのには満足のいく方法ではない。その点を考慮して作成されたのが表13.3である。この表の解釈は、多様性の程度、人口の規模、文化的影響の見地から述べられる。
この表は1945年から1980年までの長期間にわたる21の民主主義体制の政治的特徴をまとめたものである。結論からいえば、この表による分類は極めて安定的な構造的特徴に基づいているので、これら21カ国はマジョリタリアン、及びコンセンサス民主主義というふたつの型にしっかりとおさまっているということができる。

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