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ちょこっとコラム13
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震によってお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。皆様の安全と、一日も早い復興をお祈り申し上げます。
その93 花粉状況(文:中村優子)
2012年明けましておめでとうございます。
2011年は、観測史上2番目に多い花粉飛散量を経験したシーズンでしたが、皆様はいかがでしたでしょうか?スギ・ヒノキ花粉飛散量は、2011年6月から8月の気象条件、気温、日照時間、降水量に影響されます。9月下旬のスギ雄花の調査結果から2012年春の花粉飛散総数は西日本の一部地域で2011年を上回りますが、全国的に平年の80〜120%との予測です。また、過去10年平均の飛散量は、その10年前と比較して2倍以上になっており、近年の花粉飛散量自体が増加傾向のようです。花粉症の患者数は、推定で2000万人といわれ、6人に1人が花粉症の症状を持つといわれています。対策として花粉症の原因となるアレルギー物質との接点をなくすことが一番なのですが、現実はそういうわけにもいきませんので、ここでは食生活の注意点や漢方薬につ いて記します。欧米化に伴い油脂を使う機会が多くなりました。油も大切な栄養素ですが、油脂の取りすぎは体の炎症を強めることがありますので注意が必要です。また、漢方を勧める先生も今では少なくありません。漢方は、眠くならないことや副作用の少なさ、体を温め花粉症の悪化を防ぎ、体質改善に役立つことなどからお勧めできると思います。早めからの受診をしましょう。
その92 年末年始の食事について・正月太りしないコツ
一年中のうちでもっとも太りやすい年末年始。お正月が明けて何だか体が重いと思ったら、体重が1kg増えている!たった1kgでも痩せるのは結構大変です。こんな事がないように、食べ方のコツを紹介します。
@食事の初めに野菜やきのこ、海藻など食物繊維を多く含む物をたっぷり食べます。血糖値の上昇が穏やかになり、脂肪の合成を防ぐ作用があります。次に肉や魚、豆腐などのたんぱく質を食べます。お肉は赤身や内臓類がカロリー低めです。焼き鳥の皮は高カロリーなので要注意、お刺身は脂肪が少ないのでお勧めです。加工品はカロリーが高めなので、出来るだけ素材そのものをシンプル料理した物を選び、良く噛んで、ゆっくり食べて下さい。最後にご飯です。デザートはぐっと我慢、どうしても食べたい時は� �しの果物かゼリーなどを。
Aお酒は食欲増進作用がありますが、アルコール度数が高いものほど高カロリーですので程々に。ゆっくり飲んで、間にお茶やお水を挟むのがお勧めです。また、利尿作用があるため脱水状態に気をつけましょう。高カロリーの宴会料理とアルコールによる脱水症状で血液ドロドロ・・・お水などで水分補給をしっかりして下さい。
B日常の活動量を増やす。特別なことをしなくても、買い物などで普段より多めに歩く、階段を使う、掃除をする、それだけでも効果的です。
その91 COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは
軽い動作で息切れをしたり、せきや痰がずっと続いたりすることはありませんか?それらの症状が1年以上続く場合、COPD(慢性閉塞性肺疾患)という病気が考えられます。COPDとは、以前「肺気腫」「慢性気管支炎」とされていた病気をまとめてこのような呼び名になりました。別名タバコ病とも言われ、原因の90%以上は喫煙です。20年以上吸い続けた人の5人に1人は発症するといわれます。現在の患者数は、530万人といわれますが、治療を受けている方は22万人ほどと極めて少ないようです。一旦悪くなった呼吸機能を根本的に治し、元の健康な肺に戻すことはできませんが、少しでも早い段階で病気に気づき治療を始めることで、健康状態の悪化と日常の生活活動の障害を防ぐことはできます。とにもかくにも第一は禁煙です� �タバコの本数を徐々に減らすのではなく、完全にやめることが不可欠ですので自分の意思だけでやめられない方は、禁煙外来などを訪ねてみてください。他の治療法は気管支拡張薬、去痰剤、ステロイド薬などの吸入薬などの薬剤を使用し、病状にあった望ましい呼吸法をマスターし、呼吸を楽にする「リハビリテーション」などが行われています。
日常で気をつけなければならないことは、風邪にかからないことが大事になります。手洗い、うがいはもちろんですが、インフルエンザの流行の兆しがあれば予防接種を受けることが望ましいと思われます。
その90 果物について
果物、食べていますか?毎日、何かしら食べていらっしゃる方もいれば、たまにしか食べる事のない方もいらっしゃいますね。果物には、ビタミンC、カリウム、食物繊維など豊富に含まれています。ビタミンCはコラーゲンの生成を助け、皮膚、血管、骨を丈夫にしますが、熱に弱いため、生で食べる事のできる果物は、効果的に体に取り入れる事が出来ます。発がん物質の抑制や、ストレスを和らげる作用、免疫力を高める作用もあるため風邪の予防にも効果があります。カリウムは体からナトリウムを排せつすることで、血圧を正常に保つ効果がありますので、日頃の減塩に加えて、果物の摂取をお勧めします。食物繊維はおなかの調子を整えコレステロールの上昇を抑える効果があります。 食べすぎは肥満の原因になりますが、果物は塩分や脂肪分がほとんど含まれていないため、お菓子の代わりにおやつとして毎日適量をお勧めします。一日の果物の量は80kcalくらいです。目安量はそれぞれ、バナナ1本、柿1個、りんご半分、みかん2個、キウイ2個に相当します。缶詰の果物はシロップに漬けてあるため、カロリーは高くなります。果物をよく食べる方は一度ご自分の好きな果物のカロリーを調べてみるのも良いですね。受診の際に栄養士に尋ねて下さい。
その89 ペットボトル症候群にご注意
「ペットボトル症候群」という言葉をご存じですか?ブドウ糖を中心とした糖分を多く含む炭酸飲料、ジュース、スポーツドリンク、コーヒー等を多量に飲む習慣を続けている事でおこる急性の糖尿病です。これらを大量に飲むことで急激に血糖値が上がり、ひどくなると突然の昏睡状態となる場合もあります。血糖値が上がると口が渇き飲料水を飲む、そして多尿になり、さらにのどが渇く悪循環に陥ります。
ペットボトル症候群になる方は10代から30代で肥満傾向がある方に多く、もともと糖尿病の素因を持ち、健康診断で高血糖を指摘されていたのに、そのままにしている人に起こりやすいです。肥満傾向で糖尿病の診断をまだ受けておらず、多尿やのどの渇きがある方は注意が必要です。
その88 快適な眠りの準備
平均的閉経時期から前後5年間、日本人女性のおおよそ45歳から55歳の10年間を更年期といいます。この時期、女性ホルモンが激減し、卵巣の働きが衰え、最終的にその働きが停止する時期を示します。症状は様々で不眠、動悸、疲れやすい、食欲の低下、便秘、肌の乾燥、頻尿、しびれ、いつもよりいらいらするなど多種多彩です。これらの症状はストレスによって増強していく傾向があります。生活に支障をきたすほど症状が強く治療が必要な状態を『更年期障害』と呼びます。更年期は誰にでも現れることですが、誰でも更年期障害になるわけではありません。更年期の症状を辛いと感じる人は多いと思いますが、心身を休ませ、これまでの生活を見直し、少しでストレスが少ない生活をしていただきたいと思います。食事は野菜中心 のメニューにして、脂肪分の多い食材は避け、3食規則正しく取ることが大切です。また、大豆に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンと似た働きをしますので納豆や豆腐などの大豆製品をお勧めします。女性ホルモンが減少すると骨粗しょう症になりやすくなりますのでカルシウムの多い牛乳や小魚などをうまくとりましょう。不安定なつらい症状が続くようであれば適切な治療を受けるなどして、更年期を上手に乗り切りましょう!!!
その87 カンピロバクター食中毒
わが国で発生する集団食中毒の最も多い原因はノロウイルスによるものですが、以前は腸炎ビブリオやサルモネラによる細菌性食中毒が主流でしたが、近年カンピロバクターによる食中毒の発生が多い傾向にあります。一般的な食中毒は夏季に多く発生し、冬季に減少しますが、この菌による発生時期は5〜6月に多く7〜8月にやや減少し、再び9〜10月に上昇傾向を示しています。他の食中毒感染と比較して潜伏期が2〜5日とやや長いのが特徴的です。主な症状は下痢(一日2〜6回続く水様便)、発熱(37.5〜39.5℃)、腹痛、嘔吐などです。家庭での食中毒の予防の3原則は、『食中毒菌を付けない・増やさない・殺菌』です。この3原則に従って食品の購入から食事にいたるまでを注意していく必要があります。過去のカンピロバクター食中毒� ��例から原因食品と判明したものは、鶏肉を中心とした肉類もしくは牛レバーなど内臓の生食によるものが大半であったようです。調理時、十分に加熱処理をし、調理器具や手指を介した生食野菜・サラダへの二次汚染防止などへの注意が必要です。何より日頃の手洗いで菌を付けないことが食中毒の最大の予防です。きちんと手洗いができると、食中毒は40%防げると報告もあります。流水と石鹸で30秒の手洗いを励行しましょう。食中毒は決して軽視はできません。症状が出たら早期受診をお勧めします。
その86 紫外線のあれこれ
紫外線の強さは時刻や季節、さらに天候によって大きく変わります。同じ気象条件において太陽が頭上にくるほど紫外線が強く、5月頃より紫外線の量は徐々に増えはじめ8月に最も強くなります。日中は太陽が隠れていても雲の合間から80%の紫外線が地上に届いていますので十分注意しなければなりません。また、紫外線を浴びても肌の色が黒くなったり、赤くなったり、人によって日焼けの仕方は異なります。これはメラニンと呼ばれる色素を合成する能力に個人差があるからです。遺伝によるらしいですが、日焼けによって皮膚が赤くなるだけで黒くならない人は紫外線の悪影響を受けやすく、皮膚へのダメージも強いようです。また、紫外線は『しみ、しわ、たるみ』の原因になるだけでなく、紫外線アレルギー、皮膚がん、白内 障が発症しやすくなったり皮膚の免疫力を低下させ感染症になりやすくするなど様々な害をもたらします。これから夏本番を迎え、上手な紫外線対策を身につけましょう。外出時は、『帽子、サングラス、日傘』などを使用しましょう。夏の暑い時期には大変ですが、徹底するのであれば長袖がお勧めです。服装の素材はポリエステルと綿の『混紡素材』色は『黒』が紫外線を透しにくいようです。
ちょこっとコラム12
その85 快適な眠りの準備
さて、毎日を元気に過ごし、充実した生活を送るにはまず睡眠が第一です。現在、日本の成人の5人に1人は何らかの眠りに関する問題を抱えているといわれています。加齢とともにねむりは浅くなりますが、眠れない原因は人それぞれです。生活習慣の乱れ、心配事やストレス、嗜好品や治療のために飲んでいる薬によっての不眠、様々な病気による不眠、精神疾患による不眠などがあります。快適な眠りを作る準備として生活習慣を少し見直してみてはいかがでしょうか。昼寝は、昼食後から15時までの時間帯に20分から30分未満がベストです。睡眠薬代わりの寝酒は熟眠感を得ることが無く、飲酒量の増加にもつながりますので注意です。そして、就寝4時間前からのコーヒー、紅茶、緑茶などのカフェイン摂取、1時間前からの喫煙は寝 つきを悪くするといわれます。眠りやすい寝室環境も大切です。睡眠に最適な明るさは30ルクスで、これは胎児がお腹の中で感じている明るさと同じだそうです。フットライトなどの間接照明や青系室内色が脳を休めるのにいいそうです。自分にあった工夫で眠りの質を上げていくことが重要です。眠くならなくても『なんでねむれないの?』と考えないでください。不眠が続き辛くなったら医師にご相談ください。
その84 高血圧治療 減塩編
高血圧症の原因は不明な点もありますが、生活習慣や遺伝などの危険因子が関与していることは十分明らかです。初期にはこれといった症状もないことで 30〜40歳代のかたは8割以上、50代の方は6割以上の方が未治療といわれています。高血圧症をそのまま放置しておくことで動脈硬化をすすめやすくし、 脳梗塞や狭心症、心筋梗塞などの大きな病気を招いてしまうことになりますので、治療は十分にお勧めします。
治療は降圧剤等の薬物療法と生活習慣の是正です。塩分のとりすぎ、過食や運動不足、ストレスの蓄積、喫煙、過労、睡眠不足、肥満等が血圧を上げる危険因子 ですので生活習慣の見直しの必要があります。そこで今回は塩分制限について詳しく紹介します。現在の日本人の塩分摂取量は平均で11〜12gくらいです。 一方2010年日本人の成人に勧められている1日の塩分摂取目標値は男性が9.0g未満、女性が7.5g未満と算定されています。これらから減塩の必要が あります。減塩の工夫として、まずは食事に含まれている塩分の量を知っておくことが大切です。ちなみに梅干1個(2.5g)、焼きちくわ(2.4g)、 ラーメン(5〜8g)です。また、味付けを薄味に慣れてもらうためしょうゆやソースは食品にかけずにつけること、塩やしょうゆの代わりにレモンや香辛料、 酢、香味野菜をつかうこと、減塩しょうゆや減塩味噌を使うことなどがあります。味噌汁は具沢山にし、ラーメンやうどんの汁は3口までとしましょう。外食や インスタント食品には多くの塩分が含まれていますのでできるだけ控えていきましょう、など様々な工夫で減塩に心がけたいものです。
その83 年末年始の食べ過ぎに注意です。
年末年始で食べすぎ・飲みすぎが続き、寒い日はこたつに入ってテレビを見ながら、ついお菓子や果物に手が出てしまった方はいませんか?運動不足もあいまっ て気がついたら体重が増え、血液検査の結果、コレステロール値が高いことを指摘された方はいませんか?高脂血症が続くと動脈硬化を招き、脳梗塞や心筋梗 塞、狭心症などの病気を発症する危険性が高まります。早速、食事の見直しが必要です。食べすぎは、脂肪の過剰摂取を招き、肥満の原因となりますが、1日の 摂取カロリーを適正にすることが大切です。(標準体重(Kg)=身長(m)X身長(m)X22)また、動物性脂肪の摂取は控えましょう。動物性脂肪を多く 含む食品は、バター、チーズ、肉の脂身、チョコレートなどです。コレステロールを多く含む食品(鶏卵卵黄、バター、他)も避けなければなりません。食物繊 維、ビタミンは多く摂取しましょう。食物繊維は、腸管からコレステロールの吸収を抑え体外への排泄を促します。アルコールも1日25g程度までが適量 (ビール中瓶1本、日本酒1合)です。和食料理は穀類を中心に野菜、魚、いも、キノコ、豆腐、海藻などの低カロリーかつ良質なたんぱく質、豊富なビタミ ン、ミネラル、食物繊維などで構成されています。塩分の摂りすぎに気をつけるだけで、理想的な食事になります。食事療法も運動療法も毎日続けることが大切 です。
その82 2011年の花粉飛散予測
2010年の夏は、猛暑が続き、雨も少なく、晴れ日が多かったことから、2011年春の花粉飛散予測の地域差はあっても全国的に非常に多いと予測されてい ます。なんと2010年春に比べ、おおよそ2倍〜10倍といわれています。花粉症などのアレルギー症状は悪化すればしただけ薬が効きづらくなります。花粉 の飛び始める2週間前から症状を抑える薬を使用すること(初期療法)をお勧めします。
初期療法は症状の出現を遅らせることが出来、飛散量が多い時期でも症状を軽くすることができます。また、併用する薬の量や使用回数を少なくすることなどの メリットがありますのでぜひお勧めです。昨年まで症状が無かった方でも突然発症する方は少なくありません。また、くしゃみや水様性鼻水、眼・のどのかゆみ などが続いた場合には医療機関への受診をお勧めします。
例年症状の強い方は、早期の治療開始がシーズン中の症状の緩和に重要です。すでに症状が出ている方も多いようですが、花粉の飛散がたとえ2倍〜10倍とい われても症状が2倍から10倍と強くなるわけではありません。症状はある程度で一定になります。また逆に、飛散数が少なくても症状が軽くなるわけではあり ません。花粉飛散数を参考にしながら、症状にあわせた適切な治療を受けてください。
その81 慢性頭痛
『頭痛もち』と言われる慢性頭痛患者さんは人口の4人に1人といわれ、日常生活に支障をきたす方も少なくありません。多くの方は市販薬で漫然と対処されが ちですが、医療機関で適切な治療を受けることが望ましい患者さんでも受診される方は非常に少なく、慢性頭痛に対する理解が低いことが問題視されています。
慢性頭痛にもいくつかタイプがあります。また一種類の頭痛と複数のタイプの頭痛を持つ混合型があります。なかでも一番多い頭痛は、精神的苦痛や長時間同じ 姿勢を続けることによる身体的なストレスで起こる筋緊張型頭痛です。入浴やストレッチでこりをほぐし、筋肉の緊張を解消することが望ましいようです。次に 多いのは、頭の血管が拡張することによって頭の片側もしくは両側がズキズキと脈を打つように激しく痛む片頭痛です。光、におい、音に過敏になってしまい、 動くと痛みが増します。長時間にわたって痛みが続くことで、日常生活に支障をきたすことも余儀なくされることもあります。はっきりした原因はわかりません が、睡眠不足、生活の乱れ、人混み、サウナ、アルコールなどから誘発されるようです。自分の痛みの誘因を避け、痛くなりそうになったら安静が良いと思われ ます。さらに群発頭痛の患者数は少ないものの、慢性頭痛の中で最も痛い頭痛といわれます。アルコールで誘発される場合がありますので頭痛時はアルコールを 避け、痛みを予測して予防薬を飲むことをお勧めします。慢性頭痛の診断治療は、まずはかかりつけ医に相談することをお勧めします。
その80 帯状湿疹
帯状疱疹は、水ぼうそうを引き起こすウイルスが原因です。体の片側、神経の走行に沿って帯のように発疹が現れ、敏感な神経が傷ついて痛みを感じます。多く の人は子供の頃このウィルスに感染し、水ぼうそうになります。水ぼうそうが治ってもウィルスは体の神経の中に潜んでいますので、疲れが溜まったり抵抗力が 落ちたとき、加齢、手術などの身体への負担が大になった時、このウイルスが勢いを再びもち発病します。皮疹は特徴的であり、経過も幾つかのパターンはあり ますが、痛みを感じた数日後から1週間後に赤い湿疹が出現し、その後水ぶくれとなり、2、3週間かけてかさぶたになっていくという比較的決まった経過を呈 すようです。治療の中心は抗ウイルス薬ですが、休養をとることも大切な治療の一つです。ゆっくり休んで免疫力を高めましょう。
帯状疱疹の痛みは、通常1か月程ですが、皮膚症状がなくなっても痛みのみが3か月以上に及んだ場合を『帯状疱疹後神経痛』と言います。治療には鎮痛剤や炎 症剤などを服用します。また、高齢者の場合は痛みが残存する事が多く、長期にわたって痛みがあることを訴える患者のうちの70%が60歳以上の方のようで す。帯状疱疹後神経痛を防ぐことのポイントは、血流を良好に保つことが大切です。温めるという行為で血管を弛緩させ、交感神経の緊張を緩めることが痛みを 軽減につながる場合があります。
その79 インフルエンザワクチン2010
昨年度、新型インフルエンザは優先接種対象者を中心に、おおよその接種数は2110万から2280万と推定されます。今年のインフルエンザワクチンは、A 型H1N1(新型インフルエンザ)、A型H3N2(香港型)、B型の3種混合のインフルエンザHAワクチンになります。13歳以上の成人の摂取回数は1回 ですが、12歳以下の子供は、インフルエンザに対する免疫力が少ない可能性が高いですので、2回受けることが必要です。また、受験生とか、どうしても仕事 を休めない職業の人とか、喘息など気管支に持病のある人なども、やはり2回接種の方が間違いありません。また、高齢者をはじめ呼吸器や心臓などに慢性の病 気を持つ人は重症化するのを防ぐという意味で十分な注意が必要となります。インフルエンザの予防接種は毎年10月中旬頃から開始されています。抗体ができ るまでに約2週間かかりますから、インフルエンザが流行する1月までに抗体をつけておくとすれば、12月中旬頃までに予防接種を受けておくことがよいで しょう。接種後、個人差はありますが、約5ヶ月間その効果が持続するとされています。ワクチンを接種したにもかかわらずインフルエンザに感染するケースも みられますが、唯一の発症予防手段、合併症の重症化を防ぐ唯一の手段として、ワクチン接種することですのでお勧めします。
その78 中性脂肪
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テレビや雑誌で『中性脂肪』という言葉を聞かれたことがありますか?中性脂肪は体にとって大切な働き、エネルギー源ですが、過度に溜め込んでしまうことに よって、体脂肪となって肥満を起こします。さらに体に取り込まれなかった中性脂肪は、血管にたまり動脈硬化を引き起こす原因につながります。動脈硬化が引 き金になる病気は脳卒中、心筋梗塞、腎不全など死に直結してしまう病気が数多く、あまり体にためたくない物質の一つです。中性脂肪は身近な環境の変化に よって変わりやすく、なかでも深くかかわっているのは食事です。食べ過ぎ、甘い物の取りすぎ、アルコールの取りすぎは中性脂肪が体内に蓄積されます。スト レスを感じることによっても自律神経の働きに異常をきたし、ホルモンバランスが崩れ、中性脂肪が多くなります。また、ストレスを感じ、食生活が乱れる方も 少なくありません。暴飲暴食に走ってしまう女性は特に気を付けなければなりません。喫煙も中性脂肪を上げる因子の一つです。詳細は不明ですが、たばこに含 まれるニコチンは、血液をドロドロにします。血管も傷つきそこに中性脂肪がたまり、動脈硬化につながります。他には、加齢とともに増える傾向があります。 年を重ねると何もしなくても消費できる基礎代謝が下がることが理由の一つです。
治療の一歩は、生活習慣の見直しです。1日3食を守り、寝る前の食事や間食は避け、糖分、アルコールを控えるなどの食習慣を見直しましょう。有酸素運動は中性脂肪に有効です。軽い運動をする習慣を身につけてください。
その77 ロコモティブシンドローム
骨、関節、筋肉などの体を動かす運動器の機能が衰えると、しいては日常の自立度が低下し、介護が必要になり寝たきりになる可能性があることを歓喜する概念 を ロコモティブシンドローム(以下ロコモと記す)と言います。日本語名は「運動器症候群」です。ロコモ人口は高く、 5 人に1人は関節の痛みや、転倒などによる骨折や、関節・筋肉・骨など何らかの運動器の障害が原因で寝たきりになってしまう状況にあります。家の中でつまず く、階段昇降に手すりが必要、横断歩道を青信号でわたりきれない、片足立ちで靴下がはけない、 2 kg程度の買い物が困難、布団の上げ下ろしが困難などのロコモチャックを行い、一つでも当てはまるようでしたらロコモの心配が考えられます。ロコモの予防 や進行を防止するには、自宅で簡単にできる運動(ロコモトレーニング)を日常の生活に取り入れ、カルシウムやビタミン D を積極的に摂取して行く必要があります。無理をせずご自分のペースで続けていくことや、睡眠を十分にとり、体を休めることも大事なことです。また、詳しい 運動内容や体調に不安がある方は主治医にご相談ください。先月、日本の平均寿命が発表されました。男性 79 ・ 59 歳、女性 86 ・ 44歳と、ともに4年連続で過去最高を更新していることがわかりました。医療技術の進歩で平均寿命は延びる傾向にありますが、人生の後半、快適な生活を送 るためにも、新しい概念を覚えてくださいね。
その76 漢方薬のあれこれ
昨今、西洋薬とともに漢方薬を処方される先生が多くなっています。漢方薬の基本的な考え方は『病気と闘い、治す力(誰もが持っている力)を高め、体の調子 を整えていくこと』にあります。鍼灸、気功、太極拳等も同じ考えを持ちます。漢方薬の情報が簡単に知られるようになったことはもちろんですが、医療用漢方 薬製剤が普及したことや、漢方薬が生薬を組み合わせ様々な症状に対応した効果を生み出す事が期待できる事などが、漢方薬が注目されてきている理由と思われ ます。
では漢方薬と西洋薬の違いは何でしょう。それぞれ得意分野があって、痛みをとる・血圧を下げるなど、一つの症状や病気に直接的な治療に西洋薬が適していま す。漢方薬は、慢性的な病気や全身的な病気の治療はもちろんですが、急性の風邪などのあらゆる分野にも効果を発揮します。時代と共に病気も変化し、複雑な 病気が増えている状況下において、それぞれが長所を生かした治療が必要と思われます。また、漢方薬は副作用が少ないとか、即効性がないとかの誤解もあるよ うですので正しく理解しての服薬をおすすめします。漢方薬に限ったことではありませんが、アレルギーなどの有無や、成分の重複している薬が無いかなど、お 近くの漢方を扱っている医師や薬剤師に詳しくお尋ねください。
その75 百日咳
『百日咳』は、これまで乳児期から幼児期を中心とした小児で流行する疾患とされてきましたが、20才以上の患者発生の割合が年々増加していると報告があり ます。百日咳は、特有のけいれん性の咳発作(痙咳発作)を特徴とし、百日咳菌の感染を原因とする急性の呼吸器感染症です。成人の発生例は咳が長期にわたっ て持続するものの、乳幼児にみられるような重篤な痙咳発作性の咳嗽を示すことは稀であり、症状が典型的ではないために診断が見逃されやすく、感染源となっ て周囲へ感染を拡大してしまうことも多々あるようです。治療は、症状を抑えるための対症療法が中心に行なわれます。治療の効果には個人差がありますが、早 めの治療が必要であり、安静、水分補給につとめることが大事になります。患者さんとその家族の方、濃厚に患者さんと接触した方については、予防的に抗生物 質を服用することもありますので主治医にご相談ください。発症初期の段階では診断が難しいこともありますので、咳が長く続く場合、高熱、咳が止まらず息が しにくい状況やチアノーゼ(指先、口唇が紫色)が出現するときは必ず近医にご相談ください。咳やくしゃみをするときはティッシュやハンカチ、マスクなど で口と鼻をふさぎ、他の人に直接、鼻水やつばがかからないようにする『咳エチケット』が最も大事なようです。
その74 自律神経失調症
日常のストレスや疲れから「体がだるい」「頭が痛い」「食欲がない」「息苦しい」など慢性的な体の不調を訴える方が増えているようです。病院を受診し、検 査を行っても「何も異常なし」と診断されても、実は『自律神経失調症』であったということがあります。『自律神経失調症』は、自律神経(交感神経と副交感 神経)がバランスを崩した状態となり、自律神経が司る体のあちらこちらに様々な不快な症状が現れてきます。自律神経失調症は、自律神経の乱れによるもので すが、過重なストレス、不規則な生活習慣は大きな原因になります。また、体質や性格などによっても自律神経失調症に罹かりやすいともいわれます。
自律神経失調症のつらい症状があったら、我慢せず近くの医院や病院を受診し、一通りの検査や治療を受けた方がよいと思われます。初期にはゆっくり体を休 め、それぞれの症状にあった治療を受けていく事で回復に向かうことができると思います。しかし、自律神経失調症と思われる症状の背景に、うつ病などの精神 疾患が隠れていることもありますので、まずは、かかりつけ医にご相談の上、精神科や心療内科に診察してもらいましょう。自分の心と体、生活習慣を見つめ直 し、ストレスと上手につきあっていくことが大事なようです。
その73 めまい
しばしばみられる症状の一つのめまいは、その原因も多岐にわたります。「耳」が原因でめまいが起きることが一番多いといわれますが、「脳」「循環器系」 「頸椎」や全身的な病気によって起きるめまいもあります。めまいの症状は、目の前の景色がぐるぐる回る・体がふらふら・ぐらぐらする・たちくらみ、目の前 が暗くなる等と表現されます。なかでも、今注目されている良性発作性頭位めまい症は、耳石の一部が剥がれ落ち、半規管のなかに入り込んでしまうことが原因 と考えられています。このめまいは、数分以内程で治まるといわれますが、寝たとき、起きたときや寝返りなどの頭の位置を動かすたびに生じます。ときに、非 常に激しいめまいのこともありますが、予後は良好で、しばらくすると勝手に治ってしまうこともよくあります。まれに難治性のこともありますので注意が必要 です。
めまいに襲われた場合、深呼吸を繰り返して、気持ちを落ち着かせましょう。初めてめまいを経験した方なら、気が動転してパニックになってしまうかもしれま せんが、ほとんどのめまいは安静にしていれば、症状は次第に収まっていきます。もしめまいのための薬があれば、それを飲んで回復を待ちましょう。いつまで たっても症状が回復しない場合や、頭痛や嘔吐などの症状を伴う場合は、すぐに医師の診察を受けてください。
ちょこっとコラム11
その72 ノロウイルスにご注意
昨年の10月頃より日本の各地からノロウイルスによる感染性胃腸炎発生が聞こえてきました。ノロウイルス感染は冬季の発生が主流ですが、最近では年間を通 して全国的に報告されているようです。潜伏期間は1日〜2日で、主症状は吐き気、嘔吐、下痢、その他の症状として、腹痛、発熱、倦怠感を引き起こします。 ノロウイルスの感染はほとんどが経口感染(口から体内に入り感染)と言われ、ウイルスに汚染された貝類を、生あるいは十分に加熱しないで食べた場合 、調理台や調理器具がウイルスに汚染されていたり、ウイルスに感染した人が食品を取り扱うことにより、二次的に汚染された食品を食べた場合、感染者を看病 したり、患者の吐物、便などから直接感染するヒトからヒトへの感染する場合と3つの感染経路が考えられます。まずは、食品の十分な加熱、流水による手洗 い、うがいはもちろんですが、調理台や調理器具は次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤)を使用することや1分以上の熱湯消毒が有効です。感染が疑われた場合は、 ウイルスが体や物体に付着することを想定し、手洗いの励行による予防をはじめ、感染源の物理的な遮断(マスクや手袋やガウン)、感染源の徹底除菌を行いま しょう。ウイルスの活動が低下する湿度は50%以上、室温20℃以上を目標に室内環境を整えることも大事なことです。
その71 2010年の花粉飛散予測
2010年春のスギ・ヒノキ科花粉総飛散数は、6月から8月の気象条件から過去10年(2000〜2009年)平均と比較して、関東では30〜70%、東 海から九州にかけては70〜100%となる見込みといわれています。ただ、この10年の平均自体が、増加傾向であることから楽観視はできません。また地域 によっては、昨年並、あるいは多くなる地点もあると予測していますので十分ご注意ください。神奈川・東京は気温も高く、お天気が良いためか、花粉飛散情報 では『ほとんどゼロ』でも、1月中旬頃から花粉症の症状の方が早くも受診されています。花粉の飛散時期は例年よりも早いようです。アレルギー反応は、抗原 (アレルギーの原因)の量ではなく、抗原に遭遇する確率が高ければ発症しやすいです。飛散する花粉の量が多いと花粉に出会う確率が高くなります。花粉症対 策は、早めに受診し、抗アレルギー剤の内服を早めになさることが大切です。花粉飛散情報を事前に把握し、外出時には、マスク・メガネ・帽子の着用をおこな いましょう。帰宅したときは、まず衣服についた花粉を取り除き、手洗い・うがい・洗顔をおこなうようにしましょう。なるべく家の中に花粉が入らないような 工夫が大切です。
その70 便秘にご注意!
健康と美容の大敵と言われる便秘は、ひどくなると肌荒れや、むくみ、頭痛等さまざまな体の不調を引き起こします。便秘は、偏った食事や生活習慣などによっ て腸の働きが悪くなってしまうことが大きく関係しています。便秘の有無やその性質等を知り予防することが重要です。腸の機能が思うように働かない『機能性 便秘』と腸の腫瘍・炎症など病気が原因となる『器質性便秘』に分けられます。一般的には機能性便秘が大半であり、さらに腸の働きの一つである蠕動運動が弱 くなって起こる『弛緩性便秘』、排便を我慢する習慣によって起こる『直腸性便秘』に分けられます。女性や高齢者に便秘が多い理由として無理なダイエット や、運動不足、女性ホルモンの影響、野菜不足などがありますが、これらは弛緩性便秘に分類されます。先に述べたように、便秘は、腹部膨満、腹痛、食欲不 振、吐き気などの他に、肌荒れ・肩こり・めまい・イライラや不眠の原因とも言われます。便秘の原因は、食事の量の少なさ、食物繊維不足、水分不足、排便欲 求の我慢、ストレス、不規則な生活、腹筋の筋力低下などがありますので毎日の食生活・生活習慣は重要です。食物繊維や乳酸菌を摂り、腸内環境をバランスよ く保ち、適度な運動を習慣化し、意識的に水分を摂取して便秘を解消・予防しましょう。
その69 インフルエンザワクチン2009
突然の高熱(38〜40℃位)、上気道炎症状(鼻水、くしゃみ、咳、のどの痛み)に加え、頭痛や倦怠感、筋肉痛、関節痛など全身症状を症状とするインフル エンザは、毎年1月から2月中旬をピークに流行します。一旦流行が始まると、短期間に広がるのが特徴で、高齢者をはじめ呼吸器や心臓などに慢性の病気を持 つ人は重症化することが多いので十分な注意が必要となります。予防の基本は、流行前にワクチンを接種することですが、年々ワクチンを受ける方が増え、今年 は新型インフルエンザの流行に伴い既に新型インフルエンザのワクチンが不足している状況が続いています。接種後、個人差はありますが、その効果が現れるま で通常約2週間程度かかり、約5ヶ月間その効果が持続するとされています。ワクチンを接種したにもかかわらずインフルエンザに感染するケースも少なくはあ りませんが、ワクチンを接種することによって合併症などの重症化を防ぐことにもなり得ますのでお勧めします。新型インフルエンザと毎年接種している季節性 のインフルエンザは別のワクチンです。そろそろ新型インフルエンザの流行が終わり、季節性インフルエンザの流行が始まるものと思われますので、季節性のイ ンフルエンザワクチンも忘れずに接種していきましょう。
その68 冷えにはご注意ください
女性からの訴えが多い『冷え症』を体質とあきらめている方、また『冷え性』とは認識されていない方も結構多いのです。冷えが慢性的になると、体の血管が終 始収縮した状態になり、血液の循環も悪くなってしまいます。頭痛や腰痛、肩こり、不眠など日常生活に支障が出てしまう程、全身の不調につながることもあり ます。では、なぜ冷えが女性に多いのでしょう?男性に比べ筋肉量も少ないことから熱を作りにくいことがあります。月経時には一時的な貧血状態となり代謝が 低下し、熱が作られない状況が起こります。また、無理なダイエット、締めつける下着、ミニスカートなどは確実に冷えの原因となります。これからの季節は特 に女性は冷えに気をつけなければなりません。対策は、原因からもわかるように、冷える環境や生活習慣を見直すことが大切です。全身の筋肉の7〜8割は下半 身にあるので、下半身をよく動かす運動がお勧めです。スクワットなどが効果的ですが、無理して続けるよりもゆっくり自分のペースで、座ったまま、足の曲げ 伸ばし運動もよいと思います。入浴は体の芯から温まるよう半身浴がお勧めです。入浴できないときは、手浴、足浴も効果大です。食事は、体を温める食材に加 え、栄養バランスよく食べることが大切です。冷え性を防ぐ生活をすることがあらゆる病気を防ぐことにもつながります。また、冷え症と間違えやすい病気もあ ることも事実ですので、気になる方はお近くの医師にご相談ください。
その67 肺炎は予防が大事!
肺炎球菌は、肺炎を起こす病原性が高い原因菌の一つです。肺炎は、免疫力が弱い高齢者にとってはとても怖い病気です。抗生物質などの薬の進歩と医療技術の 向上により、以前に比べ治療できるようになっていることは事実ですが、抗生物質が効きにくい菌が増えていることも確かです。従って高齢者にとってはまだま だ怖い病気の一つと考えます。喘息、慢性肺疾患などを持つ高齢者に肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチンの両方を接種することによって入院を 63 %、死亡を 81 %減少させたとの報告もあります。たとえ肺炎になっても軽症ですむ事や抗生物質が効きやすくなるといった利点もあります。効果は人によって異なりますが、 一回接種することで 5 年以上継続するといわれています。日頃から外出から帰った時の手洗い・うがいは基本的なことですが、散歩など適度の体を動かすことや日光浴を行い、体・ 歯・歯肉を清潔に保つなどに心がけ、そしてワクチン接種がまだの方は是非接種してこの冬を元気に過ごしましょう 新型インフルエンザの流行に伴い、肺炎球菌ワクチン予防接種される方も多く、現在品薄状況が続いておりますが、10月中旬には入庫との情報もありましたの で近医にお尋ねください。
その66 お薬あれこれ情報
私たちの体は、加齢に伴い様々な病気にかかりやすくなり、それに伴い薬も増えることが多くなってきます。お薬の正しい飲み方はされていますか?いくつかの 診療科にかかり、別々に処方された内服薬は互いに影響し合わないように工夫しなくてはなりません。そこで『お薬手帳』というものがあります。飲み合わせの 不具合からの副作用を予防し、お薬の効きが高められ、結果、お薬の量を減らしていくことができることにつながります。お持ちの方は、受診時の際、必ずお見 せすることをお勧めいたします。時に、服薬を忘れてしまったらどうしましょう。薬によってはきちんと飲まなくてはならないものもあります。ご自分で判断せ ず、医師や薬剤師による相談をお勧めします。飲み忘れ防止になるようなグッズ、お薬フォルダーやピルケースを使って飲み忘れのないようにしましょう。 1 回分の飲む量が多い時は、『分包』にしてもらうと間違いは少ないと思います。 1 回分の薬を飲む時間ごとに分けて作ってくれますので薬局に告げることも方法です。 例えば、ワルファリンと納豆、カルシウム拮抗薬とグレープフルーツジュース、テオフィリンとたばこなど……これらの組み合わせが良くないと聞いたこ とがありませんか?食事と薬には相互関係があります。薬によって注意が必要な食べ物もあるということです。医師からしっかり説明を聞いて、理解し正しく飲 むことが大切です。そしてご承知とは思いますが、処方されたお薬は処方をいただいた方のものです。患者さん一人一人、診断したうえでその方の年齢、体質に あったものです。症状が同じだからといって安易に譲渡されることのないようにお願いいたします。
その65 脱水にご注意です
私たちの体に必要な1日の水分はどれくらいでしょう。成人であれば、2.5Lの水分摂取が必要といわれます。いわゆる飲む「水分」はもちろんのこと、食物 の水分も含めての目安です。運動をあまりしない人は2リットルぐらいでもよいでしょうし、運動量が多く、汗をたくさん掻く人は3リットル位飲んだほうがよ いかもしれません。水分摂取が少ないと便秘となり、新陳代謝も低下します。夏場は知らない間に脱水に陥りやすいので注意が必要です。汗をかくと体内の水分 が減り、当然血液の中の水分量も減り血液が濃縮しますので、この状態が続くことによって、体全体に水分や酸素が行きわたりにくくなり、臓器・筋肉・神経の 働きも低下します。また汗にはナトリウムなどの電解質が含まれており、大量の汗をかくことによって電解質のバランスが崩れ筋肉の痙攣という状態を引き起こ します。 夏場だけでなく、寒いときにも「はぁ?」と息をすることですら、呼吸による水分は失われます。知らないうちに皮膚から蒸発していく水分もあります。何もし なくても失われる水分があることを知り、日ごろからこまめに水分補給の習慣をつけ、夏場は特に、スポーツドリンクや塩水で水分補給をすることなど気をつけ ましょう。今、メディアでも『脱水率2%をこえると危険』といわれるくらい脱水率(運動前後の体重低下率)には十分に気をつけなければなりません。
その64 高齢者の肺炎にご注意です
高齢者は「肺炎になると命にかかわる」とよくいわれます。この事は、肺炎で亡くなる方の90%は65歳以上で、高齢者の直接死因の30%が肺炎という事実 から裏づけられています。 加齢とともに免疫力が低下してしまうことはもちろんですが、原因の多くは誤嚥によるものです。『誤嚥』とは、食べ物や飲み物・唾液が誤って気管支に入って しまうことをいいます。明らかな誤嚥をしてしまっている場合と、症状が乏しいだけに誤嚥していることに気づかず(不顕性誤嚥)にいる場合とがあります。こ れは、口腔の機能と口腔の清潔環境が関わっていることが知られています。日頃の歯周病治療や口腔内の衛生環境を整えていくことは、誤嚥の危険性を回避する ためにとても大切なことです。十分な睡眠と休息をとりバランスの良い食事に心がけ、体力や抵抗力をつけておくこと、食事は一口ずつゆっくり粗食し食べるこ と、寝たままの状態で食事をとられる方は、ベッドを挙上するなど体位の工夫が必要と思われます。また、以前紹介しました肺炎球菌ワクチン接種にて肺炎予防 することも大切です。 『食事中にむせることが多くなった』『以前と比べて言葉がはっきりしない』など、気になる点がありましたら、近くのかかりつけ医にご相談ください。
その63 サプリメントの正しい活用法
すべての苦難は、大恐慌時に直面している
『サプリメント』は、本来毎日の食事で不足している栄養素を補うための栄養補助食品のことです。食品であるサプリメントは、医薬品のような効果は実証され ていないものですが、続けて飲むことで自然治癒力や免疫力を高めることができるなど様々な効果から多く販売されています。本来、安全な食品であっても、粗 悪な健康食品が多く流通している昨今、「がんの病気に効く」などといった誇大広告によって健康被害を出してしまった食品なども少なくありません。また医師 に内緒で医薬品を服用せず、サプリメントのみに頼ってしまう方、医薬品との相互作用によって副作用と思われる症状が発生するなど、医療の妨げになってしま うこともあります。
安全に、上手にサプリメントを活用することは、病気の予防意識が高められ、かつ、病気でかかっている方は治療薬と飲んでも妨げにならない飲み方が求められ ていると考えます。まずはかかりつけ医に相談することが大切です。 一つの例として、より安全にサプリメントを食すため、医師自ら、安全・安心なサプリメントの紹介や、サプリメント等の情報提供、体調の把握などトータルで 医師がサポートするシステムもあるようで、医師も興味を持っている先生もいらっしゃるようです。
ちょこっとコラム10
その62 食中毒に気をつけて!
食中毒とは、食品の飲食で様々な原因菌やウイルスにより中毒を起こします。なかでも細菌を原因とするものが細菌性食中毒といい、食中毒全体の70〜90% を占めています。これからの季節、とくに7月頃から9月頃にもっとも多く発生します。細菌性食中毒によって起こす細菌性腸炎の代表には、腸炎ビブリオ腸 炎、カンピロバクタ-腸炎、サルモネラ腸炎、病原性大腸菌性腸炎などがあります。いずれも下痢、腹痛を伴います。近年では暖房設備の普及によって冬でも多 く発生しているようですので年間を通して気をつける必要があります。家庭での食中毒の予防の3原則は、『食中毒菌を付けない・増やさない・殺菌』です。こ の3原則に従って食品の購入から食事にいたるまでを注意していく必要があります。魚介類は、真水でよく洗い、加熱する時は充分に加熱し、生食する時は低温 で保存し早めに食べ、使用した調理器具などは熱湯消毒をこまめにすることが大切です。そして何より日頃の手洗いで菌を付けないことが食中毒の最大の予防で す。きちんと手洗いができると食中毒は40%防げると報告もあります。流水と石鹸で30秒の手洗いを励行しましょう。今、世間をにぎわせている新型インフ ルエンザや季節性のインフルエンザも含めて、手洗いやうがいが最も有効な予防方法ですので常に心にとめておきたいと思われます。
文責:中村優子
その61 骨そしょう症に気をつけて!
私たちの骨は20代から30代にかけてピークとなりますが、年齢とともに減少し、80歳くらいになると、ピーク時に比べて男性で約30%、女性は約40% も骨量が減少するといわれています。骨量の減少は生理的なものですが、骨からカルシウムやリンが過剰に脱出し、骨折しやすく、いったん骨折してしまうと治 りにくい病気です。骨そしょう症の推定患者数は、1100万人といわれる一方、治療されている人は2割にも満たないと報告があります。カルシウム不足はも ちろんですが、女性ホルモン(エストロジェン)の分泌不足、運動量の減少などが深く関係しています。また、過度の喫煙や飲酒、コーヒーの多飲、塩分・糖の 過剰摂取、ストレス、やせ、無理なダイエットなども関与しているといわれます。60歳過ぎて急激に増加し、特に閉経期以後の女性に多いようですので十分に 気をつけなければなりません。骨そしょう症の診断の中で、近年注目されているのは尿中の骨代謝マーカーの測定です。他に、骨量の測定や腰椎X線写真などあ り、どの検査も簡便にすることができます。年を重ねて身長が縮んでしまった経験を持つ方、背が丸くなったと思われる方、元気に日常を過ごしていただくため にもぜひ検査をお勧めします。
文責:中村優子
その60 認知症 その2 こんなかかわりが大切です!
認知症を患うことで記憶力や認知機能はしだいに低下していきますが、物事を理解する力や行動力が衰えていない方はたくさんおります。自分が周囲に迷惑をか けていないか、自分が壊れていくのではないかと様々な不安を抱えている方が大半です。では、認知症の方とどのように付き合っていけばよいのでしょうか。 今、どの程度の生活能力・判断能力があって、どのような気持ちで日々過ごされているのかを知り、その状況を見守ることが何よりも大切なことです。「何度も 同じことを言って…」「いったいどうしたの?」「そうじゃないでしょ!」と否定は禁物!!不安な気持ちを理解し、ありのままを受け止め、少しでも安心感を 与えられるかかわりが必要と思います。 認知症は、何もせず刺激がないとより急激に進行していきます。日々の日常生活行動をする事ことで十分に脳の活性を高めることができます。3食きちんと食べ ることや、日常の会話、家事、散歩など規則正しく生活することはもっとも基本と考えます。近年、認知症と生活習慣病との関連は深く、食生活においては、さ とうを取りすぎることで脳の血流が減ってしまい、脳細胞の死滅が早い可能性があることなども言われています。ゆえに生活習慣を見直すことが認知症の予防に つながります。甘いものを控え、野菜や魚をたっぷりとることをお勧めします。また、適度な運動は脳の血流を改善しますので適度の運動・散歩などもよいと思 います。
文責:中村優子
その59 認知症 その1
全国の認知症高齢者の数は、2005年ですでに205万人といわれ、85歳以上のお年寄りの3〜4人に一人が認知症ということになります。認知症の初期症 状は物忘れですが、単なる物忘れではありません。物忘れは脳の神経細胞の減少です。老化に比べ脳の細胞が早く消失してしまう脳の病気が認知症です。認知症 の症状は同じことを繰り返し言ったり、聞いたり、しまい忘れや置忘れが目立つ『記憶障害』や寒くても薄着のまま外出してしまったりしてしまう『判断力の低 下』、今がいつなのか、ここはどこなのかわからなくなってしまう『見当識障害』などがあります。記憶障害の症状を持っていても、物忘れを自覚でき、日常の 生活に困難がない方もいられます。このような軽度の認知障害を持つ方も4年後の認知症への移行率は24%といわれます。認知症の原因となる病気の多くは、 アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症が大半を占めます。さまざまな検査によって認知症と確定された後の治療は、認知機能の低下を遅らせる内服薬を中心 に行われます。薬は早めに飲み始めることで高い効果が期待できるとされています。 年を重ね、「物忘れがひどくなった」と感じられている方は多いのではないでしょうか。その物忘れをただの物忘れに片づけてはいらっしゃいませんか?
文責:中村優子
その58 乾燥肌に注意 その2
秋から春先にかけて多い乾燥肌(ドライスキン)の原因は、皮脂の低下によるものです。皮膚の表面がカサカサして、粉をふいたような状態(乾燥肌)をそのま ま放置すると、かゆみを生じ湿疹が発生します。悪化させないためにも早めの対処、日頃のスキンケアが重要となります。皮膚にとっての理想の湿度は、約 60%といわれています。冬は夏よりも湿度が低く、時には40%を下回ることもあります。更に室内で暖房を使用すれば湿度は20%以下まで下がりますので 注意が必要です。ちなみにかゆみは、体が温まった時に生じやすいですので過度の暖房や電気毛布の使用などは避けたいものです。 治療は、保湿剤が中心となります。保湿剤には、ワセリンやオリーブオイルなどの皮膚の表面に油膜を作ることにより水分の蒸散を抑えるものや、ヒアルロン酸 などの水分と結合して保湿するもの、天然の保湿因子やセラミドなどがあります。これらを1日2〜3回ぬると効果的です。軟膏効果をあげるには、入浴直後な るべく15分以内にぬることが大切です。また、皮膚は大変デリケートですので、べとつかない程度にたっぷり手に取り、やさしくなでるように塗るとよいと思 われます。
文責:中村優子
その57 後期高齢者医療制度について
少子高齢化に伴い、増大する医療費に対応し創設されたこの制度は、平成20年4月から新たに施行されます。従来の老人保健制度との大きな違いは、新たに独 立した医療保険制度として、満75歳(一定程度の障害のある人は満65歳)以上の方全員が被保険者となることです。そのため今まで加入していた国民健康保 険や勤務先の健康保険などの被保険者証や医療受給者は使えなくなります。新しく交付される被保険者証は、お一人1枚の交付となります。また保険料は、後期 高齢者一人一人が納めることになります。原則として県内は均一の保険料となりますが、具体的には神奈川県後期高齢者広域連合の条例で定められます。詳しく は、相模原市の広報などでお確かめください。
文責:中村優子
その56 禁煙のすすめ2
『タバコは体に悪い』とイメージはあっても、実際どのような病気と関連するかは意外と知られていません。そこで今回は、喫煙の悪影響についてお話します。 たばこの外箱に『肺がんの危険性が増します』と明記されるほど肺がんとの関連は広く知られています。肺がんをはじめ喉頭がんや胃がん、食道がんなど多くの がん疾患、気管支喘息や肺線維症、心筋梗塞などの虚血性心疾患や高脂血症、歯周疾患など多くの疾患と深く関連する危険因子といわれています。85歳の時点 で非喫煙者と喫煙者を比べたところ、約11.8倍も死亡リスクが増すとのデータがあり、喫煙が寿命を縮めるということは確かなようです。しかし、たばこを 止めることで心筋梗塞の死亡リスクが直ぐに下がることも事実です。何歳の方でもできるだけ早く止めることをお勧めしたいと考えます。 1日1箱のたばこを1年間禁煙すれば11万円の旅行に行けてしまう財テクにも良しであることを喫煙者に啓発していきたいと思う今日この頃です。
文責:中村優子
その55 喘息の治療 吸入療法について
以前、喘息は、気道に慢性の炎症を起こす病気であり、上手に喘息をコントロールするには日ごろの生活管理がとても大切であることを述べました。今回は喘息 の治療についてお話します。喘息治療は、気道の炎症を鎮める『抗炎症薬』を中心に、気道の狭窄を改善する『気管支拡張薬』の両方を組み合わせて行います。 気道の炎症は症状がなくても持続しているので喘息発作がなくても治療を続ける必要はあります。喘息治療に使われる吸入薬は、簡便に使用でき、副作用が少な く、直接患部に薬剤が届くなどから広く使用されます。中でも喘息の悪化や入院治療を確実に減少させることに効果があると言われている吸入ステロイド薬(抗 炎症・長期管理薬)は、喘息治療の第一選択薬に位置付けられています。かの有名なオリンピック選手もこのステロイド吸入薬を使用し、上手に喘息がコント ロールできてトップアスリートとして活躍できていることが良い例です。 2008年の花粉飛散予測 今年の花粉飛散量は、地域によってバラツキはありますが、東海から関東・東北にかけては平年並みかやや多め、西日本では平年よりやや少なめで、関東のスギ 花粉飛散総数は、約1500-2000個/cm2以上と予測されます。 これは、花粉の少なかった昨年の約2倍、過去10年間の平均値とほぼ同じ程度ですが、シーズンのスギ花粉総数が1000個、あるいは1日に50-100個 / cm2を超えると、スギ花粉症の方は、治療をうけないとかなり症状が強くなる可能性があり、毎年花粉症で苦労されている方は、内服薬や点鼻・点眼液などの 治療薬を使っても症状を抑えきれなくなる可能性もあります。 花粉症の症状を軽減するには、免疫力を上げる健康的な生活が効果的ですが、それでも飛散する花粉を避けることはできません。また、今まで花粉症でない人も いつ症状が出るかはわかりません。事前に飛散する花粉の量を把握しておき予防することも大切なのではないでしょうか!
文責:中村優子
その54 増えています!子供の高脂血症!!
今、偏った食生活が原因で肥満になってしまう子供たちが増えています。子供たちの10%以上が肥満といわれ、『小児生活習慣病』を引き起こす原因となりう る状況があります。子供でも太っていることによって中性脂肪やコレステロールがたまり、血液の循環がスムーズにいかないことで高血圧や高脂血症になりえる ことを覚えておいてください。コレステロールは子供の発育に欠かせない体内物質ですが、とりすぎると動脈硬化をおこすこともあるということです。日本の子 供たちの血清脂質値は年齢によっては、今やアメリカの子供たちをも上回っていると報告されています。カップ麺やスナック菓子、ファミレスにファーストフー ド、焼肉などの外食を好む子が多い事や早食い、間食などには十分注意をしなければなりません。何よりも『規則正しい食生活』をすることが基本です。早寝早 起きをし、朝食を抜かず、決まった時間にしっかり食事をとれるよう心掛けたいと思います。
文責:中村優子
その53 女性の大敵、鉄欠乏性貧血
血液の中のヘモグロビンの量が少ないことを貧血と言います。とかく女性はヘモグロビンの材料である鉄分が不足になりがちです。成人女性の約10%は鉄欠乏 性貧血であり、約40%は鉄欠乏状態といわれます。貧血になると全身が酸素不足になり、頭痛・めまい・疲労・肩こりなど様々な症状を呈します。貧血の治療 は鉄剤と食事療法です。鉄分には、『ヘム鉄』『非ヘム鉄』の2種類があります。ヘム鉄は、非ヘム鉄に比べて数倍も腸での吸収が良いので、まずはヘム鉄から 十分摂取することをお勧めいたします。豚レバー・ヤツメウナギ・鮎・煮干し等にヘム鉄が含まれ、ホウレン草や大豆・シジミ・ひじきなどには非ヘム鉄が含ま れています。非ヘム鉄も動物性蛋白質と一緒にとることで、またこれらはビタミンCを合わせることで吸収が良くなりますので調理の際は工夫が必要です。鉄鍋 や、鉄のフライパンを使うことも効果的とされます。 最後に、貧血の種類は、今回の鉄欠乏性貧血だけでないこともありますので、ご心配な方はかかりつけ医にご相談ください。
文責:中村優子
その52 心の疲れにご注意!
「五月病」は5月に限った病気でもなく、新入生や新入社員に限った病でもなく、新たな環境に適応できないあせりがストレスとなり、"何とかしなければ"と 思う気持ちが起こす心の病です。疲れているのに眠れない、食欲が落ち、気持ちが沈んでしまい、知らずのうちに自分の殻の中に閉じこもりがちになってしまう 「心の疲れ・心のスランプ」です。一般には睡眠障害、頭痛、めまいなど自律神経系の症状を呈します。この状況が長く続くことによってうつ状態を引き起こ し、更に悪化してしまうこともありますので早めの受診行動が大事と思われます。 まずは回復をあせらず、スポーツや音楽、読書をするなど、自分に合ったストレスの解消法を見つけましょう。ストレス解消のためのアルコールは一時的に気分 を晴らしますが、抑うつ気分を治してくれるわけではありません。不眠解消のための飲酒は眠りを浅くしてしまうので要注意です。新しい生活をじっくり考えな おすチャンスとして前向きにとらえましょう。
文責:中村優子
その51 慢性肝炎治療の医療費助成金が始まりました。
C型慢性肝炎とは、C型肝炎ウイルスの感染によって長期にわたって炎症が続き、肝臓の細胞が壊れ、肝臓の働きが悪くなる病気です。軽い肝炎のまま経過する 場合もありますが、約7割は徐々に病気が進行し、未治療の場合、数10年後にはその3・4割が肝硬変や肝がんに移行するといわれます。我が国の感染者は、 150万〜200万人いると推測されていますが、約6割の方がウイルスに感染していることに気づいていない可能性があるといわれています。治療の一つとし てウイルスの増殖を抑える働きを持つインターフェロ治療は、ウイルスの量や遺伝子のタイプによって使い方が分けられます。インターフェロン単独療法で聞 きにくい方にリバビリン・ペグインターフェロン治療を48週間続けたところ、50〜60%患者にウイルスが排除でき、90%に肝機能の改善が得ら れ、ウイルスの排除効果を飛躍的に高めたことがわかっています。 2008年4月1日厚生省よりインターフェロン治療に対する医療費助成が開始となりました。この制度で1年間、自己負担額が軽減されます。実際どのように 助成を受けるかはお近くの自治体、または保健所にお確かめください。また、感染の心配のある14歳以上の市内在住の方であれば無料で検査を受けられますの で、ぜひお近くの医療機関にて検査をお勧めしたいと思います。
文責:中村優子
その50 転倒にご用心!
ちょっとした段差でつまずいたり、歩行中にバランスを崩しよろけてしまったことがありますか?歳を重ねるにしたがって転倒事故は多くなります。老人ホーム に居住している65歳以上の高齢者1406人を調べた研究では1年で合計204回転倒しているという報告もあります。高齢者の転倒は、骨折という大きな事 故につながり寝たきりになってしまうことが少なくありません。転倒を予防するには、住み慣れた住居の環境を整えておくことが大切です。敷居の段差、コード 類の設置具合、床・階段・風呂場の滑り具合、適切な照明の確保など様々な個所に転倒の危険があることを察知し、様々な工夫が必要です。また、骨の強化も欠 かせません。?@カルシウムの多い食事?A日光浴?B運動を取り入れた日常生活が有効です。寝たきりにならないためにも、日頃のストレッチや運動は、筋力 をアップすることや反射神経を鍛えることにもつながり、今からでもしなやかな体を作り上げることは可能です。またそれを維持することによって転倒は十分防 げます。いつまでも若々しい体を維持できるよう頑張りましょう。
文責:中村優子
その49 『過活動膀胱』って何ですか?
過活動膀胱とは『急に我慢できない尿意がある』『トイレが近い』『我慢できずに漏らしてしまう』などの症状を引き起こす病気をいいます。40歳以上の男女 の12.4%にこの症状があり、その約半数に尿失禁があるといわれています。しかも800万人以上いるといわれる患者のうち53%の方が日常生活に支障を 感じていても、医療受診率は、わずか18%と低いことが最近わかってきました。原因は色々ですが、脳と膀胱を結ぶ神経経路の神経性のものと、そうでない非 神経性のもの2つに大別されます。前立腺肥大をお持ちの方、出産経験の多い方、肥満傾向の方、加齢に伴うものは非神経性といわれます。治療は内服治療と、 薬を使わない行動治療があります。時間を決めて排尿してもらう膀胱訓練や骨盤底筋体操などのトレーニングも有効です。薬もかなり有効といわれていますの で、排尿に関係した症状が日常生活に支障を与えているのであればすぐにお近くの医療機関にお尋ねください。
文責:中村優子
その48 高尿酸血症・痛風とは
血液の尿酸値が高い状態を"高尿酸血症"といい、それにより関節痛を引き起こすことを"痛風"といいます。高尿酸血症は、なりやすい遺伝的体質や、肥満、 飲酒、過剰な運動、食生活やストレスなどによって引き起こされます。痛風患者の約90%が男性で、特に40〜50歳代に多く見られます。近年は高カロリー で塩分や糖分をとりすぎる偏った食事、暴飲暴食をしがちな肥満の人には、30歳くらいの若年層でも発症するケースが増えているそうです。高尿酸血症をその ままにしておくと、痛風はもちろん、脂質異常症、糖尿病、高血圧症などを合併し、こうした合併症が心疾患や脳血管障害のリスクを高くすると言われています ので油断はできません。暑い夏は、汗をかいて脱水状態になると血液が濃縮され尿酸値が高くなりますので、まずはアルコールを控え、水分を十分(1500か ら2000ml)に摂取することが大切です。真夏に向けて、皆さんご注意ください。
文責:中村優子
その47 老後の生活を快適に!
65歳以上の方の人口割合は、2004年の時点ですでに20.0%を越え、間もなく超高齢化社会を迎えようとしています。老後を健やかに過ごすため、自分 の体にどのような変化が起きているのかを理解していくことはとても大事なことと思います。 加齢現象は、男女の差もあれば個人差も大きく、すべて自然なことと受け止めていきたいものです。白髪が多い、皮膚のしわが多いなど外観の変化はもちろん、 眼・耳・動作や刺激の反応など様々な機能に衰えが現れます。仕事を離れ子供が独立し、生活の変化が不安や疎外感や無気力といった心の病も心配されます。そ れらを受け止めて生活していくために3つだけ提案させていただきます。?@いつも若々しくあるために身なりを整え、姿勢をできるだけよくしておくことが大 事です。?A適度に体を動かし、頭を使うことはとても大事なことです。世の中の動きに関心を持ち続けられるよう新聞・雑誌を読みましょう。最後に、年を重 ねると様々な病気を抱えます。ちょっとの患いが大病につながってしまうこともしばしあります。近所のかかりつけ医を持つことは安心につながります。今回 は、皆さんの快適な生活のお手伝いができればと思いちょこっと記してみました。
文責:中村優子
その46 家庭血圧測定のすすめ
アメリカの歴史大恐慌
日本では既に3000万台以上の血圧計が家庭に普及し、家庭血圧を測定する方が増えてきています。それに伴い、家庭血圧値を利用した高血圧治療が重要視さ れています。外来では高い血圧でも、家庭で測る血圧が低い方もいますし、また逆の方も見かけます。毎日、測りたい時に気軽に測定でき、早朝血圧や寝る前の 血圧を測れるなど、利点はたくさんあります。しかし測定する手法が一定でないと、せっかくのデータがあっても家庭血圧が正しいと言い切れないこともありま す。血圧計は指先・手首・上腕で測定するものがありますが、指先・手首では正確な血圧を知ることはできません。上腕に巻きつける血圧計をご用意ください。 測定方法は、起床直後の排尿後、朝食前・服薬前の安静時の朝1回と、寝る前の1回で計2回です。自分の血圧を知る事はとても大切なことです。家庭血圧測定 習慣をつけ、自己の健康管理に役立てられるよう測りましょう。これを機に測り方を知ってもらい、外来受診時のお役にたてればと思います。
文責:中村優子
その45 禁煙のすすめ その3
喫煙場所も少なくなっている昨今ですが、厚生白書によると若年者(特に女性)の喫煙率の上昇や、たばこ消費の拡大し、たばこ関連の死亡者も増大している状 況があるようです。神奈川県では条例の検討事項として『公共的施設における禁煙条例』の素案を発表しました。屋内の公共的施設においてすべて禁煙にしま しょうという提案は全国初だそうです。 長い間、たばこを吸っている人の多くは、身体的にも心理的にもニコチン依存になっている可能性は多いと思われます。風邪も気力だけでは治らないように、ニ コチン依存症を意志だけで治すことはとても難しいと思われます。これまでも幾つかの禁煙補助剤を紹介しましたが、新しいタイプの禁煙補助剤が発売されまし た。ニコチンがまったく含まれていない、これまでの禁煙補助薬とは異なるものです。要は既存の禁煙補助剤が「タバコ代わりにニコチンを与えて切望感を抑え る」のに対し、新しい薬は、タバコを吸っても「美味しい」という感覚が抑えられる薬剤で、自分自身の心境を「タバコは旨くない」と思わせることで、禁煙に 向かっていただくものです。もう一つの選択肢が加えられ、自分に合ったタイプを選んで、禁煙のお手伝いにしてもらいたいと思います。
文責:中村優子
その44 慢性腎臓病に注意!!
日本には慢性腎臓病の患者は1330万人(成人8人に1人)いるといわれています。腎臓機能の低下が続いた状態を放置すると、末期腎不全となり人工透析や 腎移植となる可能性がある重要な病気です。年々増加傾向にあることから早期発見、早期治療することが大切といわれています。慢性腎臓病は、肥満、運動不 足、飲酒、喫煙、ストレスなどの生活習慣に大きく関与し、さらにはメタボリックシンドロームの発症率が高まることも分かっているようです。つまり、高血圧 や糖尿病の状態が長く続くことで腎臓に悪影響を及ぼすというわけです。しかし初期にはほとんど自覚症状がありません。貧血、疲労感、むくみなどの症状が現 れたときには、病気がかなり進行している可能性がありますので、定期的に尿検査や血液検査を受けることが大切となります。 調査では、健診などで『尿たんぱく陽性』と指摘されても、自覚症状がないために、ついつい放っておく人が圧倒的に多いのが現実だそうです。健診等の検査結 果を今一度お確かめ下さいますようお勧めします。
文責:中村優子
ちょこっとコラム9
その43 高血圧には塩分制限!
高血圧と塩分の関係は疫学的にも有効なデータがあり、1日6g未満に抑えることで血圧は4mmHg低下するといわれていますが、日本人は塩分感受性(塩分を減らすと血圧が下がりやすい)の高い民族といわれています。平成15年の調べでは、日本人の塩分摂取は平均11.5gです。ですから約半分の6g未満に抑えるにはかなり高いハードルになります。日頃から塩分を意識するため、塩分を多く含む食品を避け、調理の工夫が大切になります。塩分が多い代表的な食品、梅干しは1個(10g)に2.2gの塩分が含まれ、塩サケ辛口1切れは5〜6g含まれています。減塩しょうゆを普通のしょう油に変えるだけで1杯 1.3gの減量になります。調理法の工夫の基本はしっかりだしを利かせることや香ばしさを出すため香りある野菜・スパイス・香辛料で味つけし炒めたり、揚げたりする工夫などがあります。また、酸味や種実のコクでうまみをつけたりする工夫などもあります。新鮮な食材は素材だけの味で十分美味しくいただけます。味噌汁・スープ類はだしを利かせ塩を控えて具を多くし、ちなみに旬の焼きさんまは塩をレモンに変えるだけで5gの減塩が可能です。外食においての工夫は、ラーメンなら汁を飲まないことで4〜5gの減、おでんは練り物を食べずに2〜3gの減、にぎり寿司・天ぷら定食はみそ汁を飲まずに1.5〜2gの減ができそうです。 文責:中村優子
その42 熱中症その2
以前にも熱中症についてお話しましたが、今回は、熱中症の対策について具体的に説明しましょう。大切なのは『正しい知識を持って予防しましょう』というこ とです。ポイントは、屋外では帽子をかぶり、水分をこまめに摂取し、日陰を利用する、この3つが挙げられます。中でも、のどが渇く前に、汗をかいて失った 水分を補給することが大切です。少し冷えた水などは吸収を促進する働きがありますので特に効果的といえます。運動などで大量に汗をかいた場合は、1リット ルの水に2グラムの塩を入れ、0.2%程度の食塩水を飲み、汗とともに失った塩分も補給することが大切です。スポーツドリンクを1.5倍に薄めて飲んでも よいと思います。麦茶1リットルに梅干し半個ぐらい入れても同様です。ビールやお酒などのアルコールは利尿効果のため尿の量が増え、吸収した水分以上に失 われるため水分の補給にはなりません。まずは外出前や就寝前後、入浴後などにコップ1杯の水を飲むことを心がけましょう。
文責:中村優子
その41 低血圧のご注意!
「朝、起きられない」「頭が重い」「立ちくらみがする」こんな症状ありませんか?これは低血圧かもしれません。最高血圧が100mmHg以下の場合低血圧 が心配されます。低血圧だと体の各部に血液が十分届かず、酸素や栄養が行き届かないことが様々な症状を引き起こしていると考えられます。まずは自分だけで 判断せずに掛かり付けの医師にご相談ください。低血圧症以外にも様々な疾患が隠れていることがありますからご用心ください。低血圧の伴う頭痛やめまい、立 ちくらみ等の症状は、生活にとても大きく、影響をもたらしますが、生活を工夫することでかなり解消できます。例えば、十分な睡眠をとれるように早寝・早起 きを心がけ、適度な運動・入浴のすすめなどがあります。また、必要に応じて薬剤の使用も効果的とされています。治せるものはきちんと治し、充実した生活を できたらと思います。
文責:中村優子
ちょこっとコラム8
その40 新制度『特定疾患・特定保健指導』について
2008年4月から健診・保健指導の仕組みが変わります。従来の40歳以上の市民を対象とした基本健診はなくなり、新しい健診は「内臓脂肪を放置すること によって心筋梗塞や脳卒中にかかりやすい」という考えを基に作られたメタボリックシンドロームの概念に着目したもので、該当者もしくは予備軍の方たちへ保 健指導を徹底することによって発症を抑制していくという制度で、40歳〜74歳を対象年齢とした『特定健診』というかたちになります。75歳以上の方も引 き続き保険で検診は行われます。生活習慣病が増えることによって医療費の増加傾向に歯止めがかかることを目的とされているようです。しかし、保健指導対象 となる方々に優先順位をつけたり、健康保険組合や自治体の健診率達成による国の補助金カット問題など、国民のための検診制度となるかは今後も注目していく 必要があるようです。
文責:中村優子
その39 後発医薬品(ジェネリック医薬品)の正しい理解を深めましょう!
わが国は高齢化社会を迎え、国民医療費が増大されると予想される中、「同じ成分、同じ効果で価格の安い薬」の売り文句で発売されるジェネリック医薬品は、 国民負担の軽減に大きくメリットを有するものとして国から推奨されています。しかし、医薬品だけに正しく理解し服用することが大切です。後発医薬品は、先 発医薬品と同一の有効成分を使い、効能効果が同一であるべきだが、製造方法も異なり、有効成分以外の添加物に異なるものが入っていることから先発医薬品と 100%同じ医薬品とはいえない品質に対する信頼度の低さや、また後発医薬品が承認される際の治験のデータや、市販後調査などの情報が明らかに少ないこと などからも後発医薬品製造販売している企業への信頼度が低い現実があります。興味をお持ちの方は、是非かかりつけ医の先生にご相談してみてください。
文責:中村優子
その38 セカンド・オピニオンとは?
直訳すれば、『第二の意見』ですが、本来は『主治医以外の医師の意見』という意味です。主治医以外の医師からも診断や治療方針について説明してもらい、納 得して治療を受けてもらうための考えに基づくものです。手術を勧められたとき、またはがんの治療についてなど重大な決断をしなければならないとき、ほかの 専門医にも相談したい!と思われる時があります。日本ではまだまだ聞きなれない言葉かもしれませんが、医療は患者さまが選ぶ時代になり、治療も患者さまが 選ぶのが至極当然となってきました。ですが、治療についての情報や知識がないことで判断にも苦慮してしまう状況があるとしたなら、まずはお近くのかかりつ け医に情報を提供してもらい、相談に伺うことから始めましょう。
文責:中村優子
その37 不眠症にご用心!(^^)!
1997年に、全国成人3000人に調査をしたところ、何らかの不眠症状があると答えた人はおおよそ21.4%で我が国の成人5人に一人が不眠症状を訴え ていることがわかりました。不眠症は4つのタイプに分かれ、夜布団に入ってもなかなか眠れない入眠障害、夜中に何度も目を覚ます中途覚醒、午前3時、4時 には目が覚めてしまう早朝覚醒、そして眠りが浅いため長時間寝ていても「ぐっすり眠れない」といってしまう熟眠障害に分かれます。原因は、日常のストレス や心配事によるものや、生活のリズムの乱れなど様々です。不眠が続くと集中力が低下し、疲労が蓄積してしまったり様々な影響が考えらえます。ご自分の不眠 のタイプと原因を知り、その原因を治療・排除していくことが大切です。たかが眠れないだけと感じてはいませんか?思い当たることがありましたら、かかりつ け医への相談をお勧めします。
文責:中村優子
その36 冬の感染症にご注意! その2 ロタウイルス
冬になるとインフルエンザに代表されるカゼ用症候群の流行に一致して、いくつかのウイルス性胃腸炎が、特に乳幼児中心に流行します。冬の急性下痢症のもっ とも主要な原因がロタウイルスによる感染症です。生後6ヶ月から2歳の乳幼児に多く見られますが、抵抗力が衰えている老人のロタウイルス感染も報告があり ます、突然の吐き気から始まり、水様性の下痢、下痢便の色は米のとぎ汁様の白色または黄白色を呈するのが特色で、脱水になりやすいので注意が必要です。
日ごろからの予防対策が最も重要で、石鹸と流水による手洗いやうがいが大切になります。また、二次感染を防ぐためには、感染した方の便や嘔吐物には大量の ウイルスが含まれていますので、その処理には直接触れぬよう十分注意しましょう。調理器具、おもちゃ、衣類、タオルなどは1分以上の熱湯で加熱消毒が有効 です。
文責:中村優子
ちょこっとコラム7
その35 冬の感染症にご注意! その1 ノロウイルス
昨年の11月ころより日本の各地からノロウイルスによる感染症と食中毒の発生が聞こえています。ノロウイルス自体はありふれたウイルスですが、食品を媒介 する食中毒と人から人へうつす感染症の2つの顔を持ちます。牡蠣などの二枚貝によるものの食中毒が多く報告されていますが、感染した調理従事者からの二次 感染も大きな原因です。また接触や空気感染する可能性もあります。体内に入って24時間〜48時間後に激しい嘔吐や下痢・腹痛が発生し、時には発熱 (38℃以下)・頭痛・筋肉痛を伴います。感染しても発症しない場合や軽い風邪のような症状の場合もあります。
予防法は、食品の十分な加熱、流水による手洗い、うがいはもちろんですが、調理台や調理器具は次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤)を使用することや1分以上の熱湯消毒が有効です。感染が疑われた場合は、最寄りの保健所近医を受診してください。
文責:中村優子
その34 ポリオワクチンのいま
1988年、WHOにより地球上からポリオを根絶するという宣言をして、現在、根絶こそできてはいないが、2002年のポリオの報告数は予防接種の効果に より1925件と大幅に減少しています。現在、政治的混乱によるワクチン供給の滞りが災いしているということから、主に南アジア、西アフリカ、中央アフリ カの地域に集中し、今後も世界根絶を目指す現状にあります。
ポリオは『小児麻痺』とも呼ばれ、ポリオウイルスによる感染症で腕・腹・胸の筋肉を麻痺させる病気です。ポリオに感染すると、かぜ様の症状を呈し、その後発熱し、頭痛、嘔吐が現れ、麻痺が出現します。
ポリオワクチンは経口生ワクチンであることから接種が簡便で、副作用がほとんどないことが魅力です。わが国では、生後3ヶ月以上90日未満の間に2回、集 団接種方法で投与を実施しています。まだまだ根絶にはいたらないようなので、どうぞお忘れなく接種してくださいませ。
文責:中村優子
その33 アンチエイジングって何?
"アンチエイジング"という言葉を聞かれたことはありますか?
少子化に伴い日本の高齢化はさらにすすみ、65歳以上の人口が総人口の2割を超えている現在、高齢者が今以上に健康を維持していくことがますます必要な時 代となってきました。そこで、老化を止めることではなく老化を遅らせ、健康に長生きをすることを目的とした究極の予防医学の考えが『アンチエイジング』と いわれる医学です。
老化の原因は、免疫力の低下・細胞機能の低下・ホルモン量の低下・酸化ストレスなどで、栄養指導・運動・生活指導など多方面からのアプローチすることに よって生活の質の向上につなげられることを目指します。例えば、バランスよい食生活、適度な運動などを心がけ、ストレスをためない快適な生活をすることが アンチエイジングにつながると言われています。早速、アンチエイジングを取り入れ、これからも元気で長生きできるようお過ごしください。
文責:中村優子
その32 睡眠時無呼吸症候群って何?
睡眠時無呼吸症候群は、10秒以上息が止まる『無呼吸状態』が1時間に5回以上または7時間の睡眠中に30回以上繰り返えされる病気です。その結果昼間の 眠気、熟眠感がない、起床時の頭痛などの症状を示し、それが交通事故につながってしまう危険性を持ちます。睡眠時の無呼吸は、上気道が閉塞することによっ て起こり、その原因には首周りの脂肪の沈着、扁桃肥大アデノイド、鼻の骨が曲がっている、舌が大きいなどがあります。治療せず放置することによって生命に 危険を及ぼすこともあります。適切に治療することで症状がなくなるだけでなく予防・完治することも出来ます。
いびきの後に呼吸が止まることに気づいたときは無呼吸を疑い、早めに近医を受診してくださいね。
文責:中村優子
その31 かゆ〜い虫刺されにご注意!
夏から秋にかけて虫さんがたくさんいます。したがって虫刺され(虫刺症)は夏に非常に多く、多くの人が悩まされます。同じ虫(蚊・ダニなど)に刺されても 人によって腫れ方は違います。また、さされた直後は余り腫れていなくても、6〜8時間後から徐々に腫れ始め2日目くらいがピークになります。中でも蚊は、 色黒・O型・二酸化炭素を多く出している人が刺されやすいとの報告があります。虫に刺される危険が予想される場所に出かける時は、肌の露出は出来るだけ避 け、臭いのきつい香水や化粧品はつけず、虫除けスプレーなどを利用しましょう。虫に刺されないようにすることが第一ですが、刺されたときは早めに対処する ことが大切であり、応急処置としては氷などで冷やすことが効果的とされます。そのほか蜂や不明の虫に刺された場合には、すぐに医療機関を受診しましょう。
文責:中村優子
ちょこっとコラム6
その30 冷房病に気をつけて!
真夏は、冷房の効いている室内と室外との温度差が10℃以上になり、また冷たい食べ物、飲み物から体の内側からも冷やされ、血管が縮み、血流が悪くなって きます。それらは自律神経の働きにより調節され、急激な温度差によってその働きが弱くなってしまいます。この状況が冷房病といわれるものです。自律神経が 乱れると、体のさまざまな器官の働きに支障をきたします。症状としてはむくみ、頭痛、生理不順、体は寒くないのに手足が冷たい、眠れない、何もする気が起 こらない、疲れが取れないなどがあります。
これら様々な不調から身体を守るには、まずストレスを解消して、体の芯から温まることが大切です。ぬるめのお湯、半身浴は新陳代謝を高め安眠効果もあります。また外気との温度差を5℃以内にし、冷気から体を守るなど工夫をしてみましょう。
文責:中村優子
その29 片頭痛?
片頭痛とは頭の片側(時に両側)が『ズキンズキン・ガンガン』と脈を打つような強い痛み、ひどいときには日常生活が妨げられるほどの痛みや、時には吐き気 や嘔吐を伴うつらい頭痛をいいます。日本人の8%の方で、特に女性に多いとされます。現在の治療は薬物療法で、頭痛を抑える薬と、頭痛を出しにくくする薬 の二つの治療薬があります。また、頭痛の発作は何らかの誘因によって起こり、その誘因を減らすことが発作の予防としてとても大切なことです。誘因としては 過労、寝不足、寝過ぎ、ストレス、肩こり、まぶしい光や騒音、人ごみやホルモンのアンバランス、過剰なアルコール摂取などがあります。ご自分の頭痛に思い 当たることがありましたら、お近くの医療機関にご相談ください。
文責:中村優子
その28 プール熱って何?
プール熱は、別名を咽頭結膜熱といい、アデノウイルスというウイルスの感染により、発熱(39度近くになることも)、咽頭発赤、結膜充血などの症状をきた す病気です。今年は例年になく流行しているようで、国立感染症研究所が実施している定点調査で、5月以降、『報告数は2週連続で増加し、過去5年間の同時 期と比較してかなり多い』状況です。とくに5歳以下の乳幼児が多くかかる夏の感染症の一つです。
6月に入ると、学校ではプール開きとなり、乳幼児も水遊びをする季節になります。プールや水遊びの前後にはウイルスを洗い流す意味でもシャワーを浴び、流 行時には、うがいや手洗いをしましょう。治療は、対症療法が基本です。いずれにせよ、もしかかったかなと思ったら、お近くの医療機関にすぐに受診しましょ う。
文責:中村優子
その27 梅雨の季節にご用心!!〜気管支喘息〜
梅雨や季節の変わり目に多い病気として気管支喘息があります。症状は軽いものから重いものまでさまざまなで、発作性に呼吸が苦しくなり、息を吐くとゼー ゼー、ヒューヒューという音がのどの奥から聞こえ、痰のからんだ咳を伴う気管支に慢性の炎症を起こす病気です。発作は、台風の前日や前線の通過など気圧の 変動する時に多く起こり、発作を繰り返すことによって気管支の炎症は続き、徐々に悪化することがわかっています。『発作を止める』ではなく、『発作を出さ ない』生活が望ましいと思われます。上手に喘息をコントロールするには日ごろの生活管理がとても大切です。ダニやカビなどの発作の原因を減らし、風邪の誘 因となる冷えや過労を避け、うがいや手洗いをまめにおこないましょう。また、ストレスとも密接に関係していることから、気持ちを上手にコントロールしてい く事も大切なことです。
文責:中村優子
その26 ヘリコバクター・ピロリ菌って何?
慢性胃炎を起こすと粘膜が弱くなり胃潰瘍や十二指腸潰瘍を起こしやすくなります。この原因の一つにピロリ菌の感染があります。わが国でも6000万人以上 の方が感染したと報告があるくらい非常に感染率が高い菌であり、慢性胃炎患者の8割の方がピロリ菌の感染といわれます。診断方法はカメラで胃粘膜を採り調 べる検査もありますが、簡便な方法もありますのでお近くの医院にお尋ねください。ちなみに当院では、『尿素呼気試験』というとても簡便な方法を行っていま す。除菌の成功率は平均8割です。また、除菌が成功した場合、再感染することは稀のようです。
文責:中村優子
ちょこっとコラム5
その25 心臓病予防に魚が効果あり!!
魚を多く食べる人(1日180g程度/週に8回)は、あまり食べない人(1日20g程度/週1回)と比べて、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患にかかる 確率は37%と低く、心筋梗塞に限っては56%も低いことが厚生省の調査でわかりました。また、同じく予防効果は週に1〜2回程度でも期待できますが、さ らに食べると予防効果はより高まることがわかりました。これは魚に含まれるEPA(エンコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)の魚油に含まれ る脂肪酸が、心臓血管病のリスクを減らすとためと思われます。不整脈や突然死のリスクを減らし、血栓を作りにくくし、動脈硬化を防止することもわかってい るようです。EPAやDHAはアジ・イワシ・サバ等の脂肪の多い青魚に豊富に含まれ、適正摂取量は、1日に1〜1.7gといわれます。例えば『イワシ 1〜2匹・ぶり半切れ・サンマ1匹で1.7gに相当』ですのでお勧めします。しかし、サプリメントによる予防効果の検討はされてはいないようですから念の ため(^^♪
文責:中村優子
その24 メタボリックシンドロームって何?
生活習慣病とよばれる『肥満症・糖尿病・高血圧症・高脂血症』これらの疾患は、内臓脂肪(腸)の周辺に脂肪が蓄積した肥満が原因と考えられています。いわ ゆる内臓脂肪肥満になると、さまざまな病気が引き起こされるこの状態をメタボリックシンドロームと呼ばれ注目されています。メタボリックシンドロームをそ のまま放置することで動脈硬化をすすめてしまう可能性が高くなります。
内臓脂肪が多くたまっているかを簡単に調べる方法は、ウエスト径(へそまわり)が男性では85cm以上、女性では90cm以上であれば内臓型が疑われま す。また超音波検査やCTスキャンなどで内臓脂肪量測定を行うことでより正確にわかります。内臓脂肪は、容易に貯まり易く、容易に燃焼することができるの で日々の食事や運動を心がけることが大切といわれています。食事療法のポイントは、食事量・バランス・規則正しい食事に注意し、運動療法は、息切れしな い程度の運動を1日30分以上、週3回以上続け、効果が現れるまでの継続が大事になります (^.^)
文責:中村優子
その23 胃腸はお元気ですか?
年末の忙しさで心身ともに疲れている上、忘年会、新年会で飲んだり食べたりする機会が増え、偏った食事、アルコールのとりすぎ、運動不足も加わり胃腸は疲 れ傷つき、体力も低下してきます。すべての病気は体が弱ったときにおきやすいのです。宴会などのメニューはどうしても新鮮な野菜やカルシウムなどが不足し がちです。野菜に多く含まれる、ビタミンやミネラル・食物繊維が不足し、体がだるくなったり疲れやすくなったりします。また胃腸はストレスも大いに影響を 受ける臓器です。胃腸が疲れがちな人は、まず食生活から見直すように、野菜や果物を取り入れたバランスの良い食事をとるようにしましょう。そしてじっくり と体力が回復するよう、睡眠も十分にとり健康な生活のリズムを取り戻してください。この一年を快適に過ごせるよう工夫をしましょう。(^。^)
文責:中村優子
その22 皮膚そう痒症?!
年齢を重ねると、皮膚の外側の角質層に水分を保持する機能が低下し、皮膚は乾きやすくなります。皮膚が乾燥し、"ドライスキン"になると皮膚本来の防御機 能が低下し、衣類による刺激や温度変化に過敏に反応するようになり、これがかゆみの原因となります。『かゆみ』は、すねや大腿部に一番多く発生し、時に背 中や腹部、全身に及ぶと睡眠が妨げられとても苦痛に感じます。かゆみを止めるには、かゆみの原因となる乾燥肌を何とかしなければなりません。加湿器を使用 し、部屋の湿度を50〜60%に保ち、コタツや電気毛布の使用はなるべく避けることをお勧めします。また肌の洗いすぎにも注意を配りましょう。ナイロンや ブラシは使わず、湯上りの水分はなるべく自然に乾かし、乾燥肌用の入浴剤を用いることも良いとされます。こうして日頃の生活を少しずつ見直していくこと で、かゆみもずいぶん改善することが可能です。(^_^)v
文責:中村優子
その21 肺炎球菌ワクチンをご存知ですか?
肺炎球菌は肺炎を起こす病原性が高い原因菌の一つです。肺炎は、免疫力が弱い高齢者にとってとても怖い病気です。特に、65歳以上の高齢者、慢性の心臓・ 呼吸器疾患、肝・腎機能障害、糖尿病をお持ちの方は肺炎にかかってしまうと急速に症状が悪化し、命にかかることもあります。また、ペニシリンなどの抗生物 質に対する耐性菌が増えていることからも、肺炎球菌ワクチンによる予防がますます大切になってきています。
喘息、慢性肺疾患などを持つ高齢者に肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチンの両方を接種することによって入院を63%、死亡を81%減少させたとの 報告もあります。効果は人によって異なりますが、一回接種することで5年以上継続するといわれています。詳しくはお近くのかかりつけ医でお尋ねください。 ワクチンがまだの方は接種してこの冬を元気に過ごしましょう(^_^)v
文責:中村優子
ちょこっとコラム4
その20 更年期障害!
更年期障害の原因は、ホルモン量の減少といわれます。男女ともに40代後半あたりから減少し始め、様々な体調不良を引き起こします。前記の身体的な要因の 他に、ストレスによる心理的な要因や子供の親離れや介護疲れなどの環境的要因も大きく関与していると言われています。更年期症状は個人差も大きく、一般的 には『ほてり』『発汗』『のぼせ』などの自律神経系の症状が最も多いようです。短い人で約1年、長い人でも約5年で症状は軽減すると言われています。この 時期を少しでも快適に過ごしてもらうには、適度の運動やバランスの取れた食事をとることはもちろんですが、ストレス発散のため気分転換をすることや自分の 好きなことを思うままにするなどと、楽しく過ごそうとする意識作りも大事かと思います。また、相性のあった医師に相談してみることも方法の一つを思われま す(*^_^*)
文責:中村優子
その19 禁煙のススメ
禁煙することは以前ほど辛いことではなくなりました。
新しい方法は、禁煙ガムを利用する方法と禁煙パッチを利用する方法があります。禁煙ガムは薬局などで手に入ります。当院では後者の禁煙パッチと行動療法の二本立てで禁煙をお勧めしています。
この禁煙パッチは肌色の小さなシールで持続的に皮膚からニコチンを吸収することでタバコを吸いたくなる気分を抑えます。
行動療法は吸いたくなった時にどう対応するか、行動と考えを少しだけ変えるというものです。
タバコを止めることで、頭痛や肩こりが消え、肌の調子も良くなるなど、良いことがたくさんあります。
説明は10分程度で終わります。
是非、最初の一歩を踏み出すお手伝いをさせてください。
文責:渡辺 恵
その18 ご存知でしたか? AED!
AEDとは、自動体外式除細動器(AED:Automated External Defibrillator)のことです。現在、日本においては年間5〜7万人の方が突然の心肺停止でなくなっています。主な原因は心室細動で、通常の調 律を失いリズミカルに心臓が拍動する代わりに小刻みに震え、ポンプ機能を失い全身への血液の供給不良が起こってしまう状況に、電気ショックを与え細動を取 りのぞくことができるのがAEDなのです。この処置が1秒でも早ければ早い程、脳への迅速な酸素供給を再開させ、救命率を上げることができます。平成16 年7月から一般市民による使用が認められより身近になったAEDは現在、駅・空港ターミナル・スポーツジム・商業施設・観光施設等に多く設置されつつあり ます。簡単な操作で多くの大切な命が救われます。(ちなみに当院にも設置しております (^^)v)
文責:中村優子
その17 夏を元気に過ごしましょう!!
暑くなると、体は汗を出すことで、体温の調節を行います。皮膚の血管を拡張して血液が体の表面に集まり汗を出します。しかし、湿度が高いと汗の蒸発が妨げ られ、熱が体内にこもって疲れやすくなります。また胃腸の働きも衰え食欲もなくなってしまいます。さらに熱帯夜が続くことで睡眠不足になり、生活のリズム が乱れがちになってしまいます。その結果体調を崩し、夏ばてを起こしてしまいます。夏を元気に過ごすためには、十分な睡眠を確保して、生活にリズムを作る ことが大切です。寝つきをよくする方法としては、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かり、リラックス効果を促すことや、寝る前の暴飲暴食はさけることです。エア コンも上手に利用し、除湿をするだけでも不快感は和らぎます。外気温との差は5〜6度以内、冷やしすぎは体調不良につながります。食生活の面でも、栄養の バランスを考え、食欲がなくても3食しっかり摂取するように努めましょう。冷たいものの摂り過ぎも胃腸の働きが抑えられ食欲を減退させてしまいますのでご 注意です。
文責:中村優子
その16 うつ病はこころの風邪?(治療編)
うつ病は、治療することで比較的簡単に回復に向かうことができます。原則は『服薬』と『休息』です。現在、よく使用されている『SSRI』『SNRI』と 呼ばれるタイプの抗うつ薬は、脳内の神経伝達物質であるセロトニン・アドレナリンの利用を高め、脳の働きを改善する薬剤です。以前から使われてきた三還系 抗うつ薬に比べ副作用が少なく、安全性が高まっている等利点が多く見られます。効き目や副作用(口乾燥、便秘、排尿障害、尿閉)のでやすさは個人差があり ますので、少量から始めそのひとにあった量・種類にあわせていくことが大事になります。薬の効果を十分得るためには『こころの休息』を確保することが重要 になります。間違っても「自分はこんなに怠けてもいいのだろうか」などと気に病んだり自分を責めたりしないようにしてください。『休むことが治療』であ り、『病気を治すため』にごろごろしていることをしっかり認識しましょう。
文責:中村優子
ちょこっとコラム3
その15 すごいぞ!大豆パワー!!
大豆は、『畑の肉』といわれるほど、良質のたんぱく質を多く含んでいます。しかもご利益のあるたくさんの成分が含まれ、単に栄養成分だけでない体調を整える作用や生理活性作用を持っていることが分かっています。
なかでも大豆に含まれるイソフラボンは更年期症状に大変有効であるといわれ、更年期特有の症状である顔のほてりや寝汗を軽減し、骨の溶解を抑える働きがあるため更年期後の骨粗しょう症の予防にも有効です。
イソフラボン以外にもレシチンという大切な物質を含んでいます。レシチンが不足すると細胞の新陳代謝がうまくいかなくなり、心身ともに不調が生じます。逆 に言うと、体内に十分レシチンがあることで細胞は生き生きと活動を続けられ若々しい体でいられるということになります。またレシチンは、脳細胞膜の重大な 構成物質でもあり、痴呆症の予防にも効果があるといわれています。
前記以外にも動脈硬化を抑え、心臓病、脳卒中を予防したり、ホルモン作用でがん細胞の増殖を抑えるなど、つまり生活習慣病を防ぎ、健康を担ってくれる作用も持っています。恐るべし大豆パワー(^。^)
文責:中村優子
その14 高血圧にご注意!!
高血圧治療の目的は『血圧を下げる』だけではなく高血圧により引き起こされる心臓や血管の病気を防ぐことにあります。2004年12月に『高血圧治療ガイ ドライン』が改定され、治療方針は心血管病の危険因子(喫煙・糖尿病・脂質代謝異常・肥満・高齢など)及び臓器障害・心血管病の状態より決められ、降圧目 標は高齢者が、140/90mmHg未満、若年・中年者は130/85mmHg未満、糖尿病・腎障害患者は130/80mmHg未満と設定されました。そ れに伴い生活習慣の修正項目もいくつか盛り込まれ、高血圧に方は1日の食塩摂取は6g未満に抑えるべきと制限がきつくなる一方ほかにも適度な運動やアル コールの制限も勧められています。
高血圧を放置すると知らず知らずに血管を痛め重要な臓器の障害を招きます。日々の血圧コントロールやきめ細やかな観察が重要と思われますので、専門の先生にご相談のうえ十分ご注意をしてくださいね。
文責:中村優子
その13 うつ病とは心の風邪?
うつ病とは、いつまでも憂うつな気分が続き、不眠や体調不良など様々な身体症状を伴う『こころの病気』です。単なる気分の落ち込みであれば、友人との語ら いやお酒を飲むなど、いわゆる『気分転換』によって発散できますが、うつ病の場合は、辛さや気分の落ち込みの量と質がはるかに強く、苦しみが深く長く続く のが特徴です。
最近の研究によると女性では5人に一人、男性では10人に一人がかかるというとても多くの方が経験する病気でもあります。薬を中心とした治療で8割以上 の人が2〜3週間で回復に向かいます。治療は簡単でも、うつ病を持つ半分以上の人が治療を受けていない現状があります。うつ病になりやすい人は真面目で責 任感が強い人が多く、自分の問題は自分で解決しようという傾向が強いこと。また、心の問題は医療の対象でないと考えがちなことも理由の一つにあります。治 療を受けることが改善の一歩と考えましょう。
最近、なんとなく続いている気分の落ち込みや体の不調を「気のせいだろう…」「そのうち治るだろう…」と片付けていませんか??
文責:中村優子
その12 『かかりつけ医』はお持ちですか?
『かかりつけ医』は、家族ぐるみでかかることのできる家庭医のことです。少子・高齢化社会に向けた新しい地域医療・在宅医療に対する方向性、『かかりつけ 医』の定着が不可欠な時代になってきました。急病や専門外のことでも親身になって相談できる、顔なじみの医師だからこそのメリットを考え、『かかりつけ 医』を持つことが大切と考えます。病気の診断・治療をするのはもちろんの事、日頃の健康管理や相談・予防接種・また専門外と判断すると、検査結果やレント ゲン写真を添え、適切な医療機関を紹介してくれることも『かかりつけ医』の必須条件といわれます。
しかしそれは人間同士、「ウマが合わない」場合もあります。医師と患者様との相性もあり、日頃から何でも聞ける相性の良い医師を、健康なうちから『かかりつけ医』としてお願いしておくのも良いでしょう。
文責:中村優子
その11 花粉症の当たり年!?
春に飛散する花粉の量は、前年夏の気象に大きく影響を受けます。2004年の夏は梅雨がはっきりせず、記録的な猛暑になりました。この影響で今年のスギの 雄花は全国的に非常に多くなっています。またヒノキも大量の花芽をつけており、スギやヒノキの花粉は全国的に前年より10倍から20倍と非常に多いようで す。よって花粉症の方は早めの対策をとったほうがよいようです。今、季節は冬。風邪の多い季節でもあります。花粉症と風邪は同じような症状が現れるので、 区別できないことがあります。風邪はウイルスによる感染症の一種で発熱とのどの痛みを伴いますが、花粉症は熱が出ることは殆どありません。またくしゃみの 回数も手がかりの一つとなります。いきなり5回・6回もくしゃみが続くときは花粉症の可能性があります。さらにこのような眼・鼻の症状に加え、のどのかゆ みがあれば花粉症かもしれません。そうかな?と思ったらお近くの医療機関への診察をお勧めします。
文責:中村優子
ちょこっとコラム2
その10 今年もやってきました風邪の季節!
風邪…それはウィルスや細菌が鼻や口から侵入して粘膜に付着することから始まります。粘膜に付着した1個のウィルスは1時間後には100個に増えます。や がてくしゃみ・鼻水・咳が出始めます。風邪ひきさんの喉から一度のくしゃみで200万個のウィルスが飛ぶことが分かっています。また冬に風邪が流行るの は、寒さのせいよりも空気の乾燥によるところが多いといわれています。予防対策として、のどや鼻の粘膜を元気に保つことが重要となります。言い古されたこ とですが、外から帰ったら必ずうがいと手洗いをしましょう。うがいをすると口腔の中の細菌数が減ることが証明されています。さらに粘膜を乾燥させないため に、室内を適度な湿度(50%)に保つことが重要です。また、体温を下げるような冷たい食べ物は避けることです。体温が0.5度下がると免疫力は30%以 上も低下するとの報告もあります。鍋などの温かいものを食べて体を温めることも大事なことなのです。
文責:中村優子
その9 冬太りを撃退しましょう!
秋から冬にかけて、今まさに味覚を満たす美味しい食べ物があふれる季節です。忘年会・新年会などで、いつも以上に食べたり飲んだりする機会が増えます。さ らに、寒くなると外出も減って運動不足になりがちではありませんか?実は体内でも太りやすい状況が起こっています。気温が低くなると体温が下がり、体温を 上げるためのエネルギーが必要になります。その主なエネルギー源となるのが脂肪です。つまり寒さに備えるために脂肪を貯めこみやすい体になっているので す。また運動不足により筋力の低下から血流の流れも悪くなり手足がむくみやすくなります。
冬太りの原因は様々ですが、暴飲暴食に注意して、暖房や厚着はほどほどに。また冬は少し長めにウオーキングなどの有酸素運動をお勧めします。
文責:中村優子
その8 インフルエンザワクチンのおすすめ
インフルエンザは乾燥と寒さに強いウイルスで、わが国では例年12月下旬から3月に流行します。一旦流行が始まると、短期間に広がるのが特徴で、高齢者をはじめ呼吸器や心臓などに慢性の病気を持つ人は重症化することが多いので十分な注意が必要になります。
予防の基本は、流行前にワクチン接種をうけることですが、年々わずかながらワクチンを受ける方が増えてきています。ワクチン接種を行うことで、重篤な合併 症を予防し、致命的な被害を低く抑えることが期待できます。効果は年齢、本人の体調や、そのシーズンのインフルエンザの流行株とワクチンに含まれる株が合 致するかによっても変わりますが、65歳以上の健常な高齢者について約45%の発病を阻止し、約80%の死亡を阻止する効果があったと報告されています。 個人差はありますが、その効果が現れるまで通常約2週間程度かかり、約5ヶ月間その効果が持続するとされていますので、12月上旬までにかかりつけ医とよ くご相談のうえ、接種を受けられることをお勧めします。
文責:中村優子
その7 『心臓病にやさしい』生活その2
『心不全』とは、心臓のポンプ機能が低下し、血液を送り出す機能が低下した状態をいいます。そのことで全身に十分血液を送り込めなくなり、息切れ、疲れやすいなどの症状が出ます。また、血液の渋滞(うっ血)も生じ肺うっ血による呼吸困難や全身のむくみが生じます。
心不全を起こした病気自体は進行しなくても、心不全症状がでたり、悪化したりすることはあります。過労はもちろん、風邪を引いたりすると心臓に負担がか かります。同様に長時間の入浴、暑い湯も負担になります。食生活も重要です。太り過ぎないように食事のバランス・カロリー制限に注意します。塩分の取りす ぎは体から水分排泄の妨げとなりますから、塩分の制限は水分制限以上に重要な意味を持っています。こうして、悪化の引き金になるようなことは日々の生活の 中で心がければ避けることができますから、よく注意してほしいと思います。
文責:中村優子
その6 『心臓病にやさしい』生活その1
生活習慣病でもある虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)は、誰にでも起こる可能性がある一方、誰にでも起こし難くすることができる病気です。主に冠動脈の動 脈硬化が原因で発症し、危険因子として喫煙・飲酒・高血圧症・高脂血症・糖尿病・肥満・運動不足などがあげられ、規則正しい生活習慣が皆さんの健康を守る ことにつながります。なかでもカロリー・塩分を抑えた食生活、全身を使った軽い運動(歩行、速足、自転車、水中歩行)は、日常生活のなかで習慣化していく ことが大切です。また、タバコの本数が多いほど虚血性心疾患にかかる危険が高くなります。1日20本以下でも危険度が3〜4倍となるとの報告があります。 何事においても節制と早期発見に努めることが大事なようです。
文責:中村優子
ちょこっとコラム1
その5 熱中症の予防法
熱中症は発症の仕方、程度により対処の仕方も違うのですが、一言で言うと『高温・多湿・無風・直射日光により、体温が一定以上となった状態』のことをいい ます。代表的な症状として、めまいや疲労虚脱感、頭痛、失神、手足の痙攣などがみられ、さらに重症になると意識障害が起こります。上記の症状が見られた時 には直ちに医療機関にかかりましょう。熱中症を防ぐには、脱水を防ぐことと、熱を発散することが大切になります。効率よく水分を補うには、ほどほどのナト リウムが入った飲料がお勧めです。日中外にでるときは直射日光を防ぐ帽子や日傘は必需品!!。疲れがたまっていたり、寝不足の時には熱中症にかかりやすい ので体調がすぐれない時の外出は避けましょう。これからが夏本番です。暑さ対策・水分補給を十分補い、元気にこの夏を乗り越えましょう。
文責:中村優子
その4 紫外線は私害線??
5月〜8月に多くなる紫外線量は朝、太陽が昇り始めるとともに上がり始め、正午に最大となり、日没とともにゼロになります。太陽が隠れていてもたくさんの 紫外線は地上に届いています。2002年7月、世界保健機関から紫外線の浴びすぎはDNAに影響を及ぼすと報告されてから、子供の頃からの紫外線対策が必 要とされています。また目や皮膚など、話題になるのは人体への悪い影響が中心ですが、有用な働きもあり、適度な量であれば大切な働きをします。たとえば全 身の抵抗力を増やし、血液の循環を良くし、骨の発育に必要なビタミンDを合成・蓄積し皮膚の炎症反応を抑えます。これから夏本番を迎え、上手な紫外線対策 を身につけていきたいと思います。
文責:中村優子
その3 食中毒の予防箋
梅雨の季節、気温が上がり、ジメジメと湿気が多くなり、食中毒を起こしやすい時期でもあります。O-157などの細菌によって起こる食中毒は6月から9月 にかけての4ヶ月で年間発生件数の約7割を占め、1998年には3000件以上も発生し、社会問題になったことは記憶に新しいことと思います。
家庭での食中毒の予防の3原則は『食中毒菌を付けない・増やさない・殺菌』です。この3原則に従って食品の購入から食事にいたるまでを注意していく必要が あります。また基本は食品を扱う前の手洗いです。石鹸と流水で30秒から1分間洗浄しましょう。手洗いがきちんとできると食中毒は40%防げるといいま す。是非きちんとした手洗いを習慣にしたいものです。
文責:中村優子
その2 五月病の処方箋
さわやかな季節となり、そろそろ学校・会社にも慣れてきたころなのに身体の不調や気分の落ち込みなどはありませんか?『五月病』は新入生や新入社員に限ら ず、また五月に限った病気ではありません。新しい環境の変化についていけず様々なストレスが積み重なり、心と体がアンバランスになった状態をいいます。こ の状態を防ぐためにはストレスをためないように、自分にあったストレスの解消法を見つけましょう。好きなことをしたり、のんびりするのが効果的。決してイ ライラしたり焦ったりはしないで下さいね。ちなみに私のストレス解消法は、大きな声で歌でも歌うことでしょうか!!
文責:中村優子
その1 花粉症対策
私、ここに勤めさせていただき今年の4月で3年目を迎えます。まだまだ未熟ですが、地域の方たちとこのような形で交流できることをうれしく思います。以後どうぞよろしくお願いいたします。
メディアでも盛んに花粉症対策が賑わいを見せているように、国民の20%が花粉症といわれる現代、誰もが花粉症に対しての知識をお持ちのように思われま す。そこで、改めて花粉症対策として症状を軽く治療期間を短くする方法として初期療法が大切になります。初期療法とはいえ、対症療法ですから完全な予防は できません。しかし、症状の発現を遅くできて、しかも花粉の治療期間が短く済むこと間違いなしです。細胞から出てしまったヒスタミンを抑えることは大変で すが、症状がでる2週間前から予防しておけば3ヶ月以上の期間を、これまでよりも快適に過ごすことができるはずです。季節中は薬を続けることが必要で、実 はうちの院長も薬を飲み忘れると大変なんです。今年花粉症で悩んでいる方は来年やってみる価値大であることを覚えててくださいね。
文責:中村優子
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